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飯塚幸三被告、ブタ箱送り回避?禁錮5年実刑判決も控訴で逃げ切り濃厚、過失認めずの理不尽。「そもそも刑が軽すぎる」上級国民に批判殺到

東京・池袋で2019年4月、乗用車が暴走し、松永真菜さんとその長女の莉子ちゃんが亡くなったほか、9人が怪我をした事故の刑事裁判で、乗用車を運転していた旧通産省工業技術院元院長・飯塚幸三被告に対し、東京地裁は禁錮5年の実刑判決を言い渡した。

今年7月の公判で、検察側は過失運転致死傷では最も重い刑期である禁錮7年を求刑していた。それに対しての禁錮5年という判決だが、その内容としては検察側の訴えがほぼ通り、車の異常を訴えた被告側の主張は退けられた格好だ。

この判決を受けて、SNSでは「求刑のほぼ7掛けで妥当なところ」といった声があがるいっぽうで、2人の犠牲者が出た重大事故だけに「軽すぎる」「7年でも短い」といった声があがるなど、さらなる厳罰を訴える意見も飛び交う事態となっている。

「車の異常」「心からの謝罪を」最後まで平行線だった裁判

主な争点は「操作ミスの有無」とされていた今回の裁判。ドライブレコーダーの記録から、飯塚被告が運転していた車は事故直前に赤信号を2回無視、さらにブレーキをかけた形跡がないことが判明し、これを踏まえて検察側は「車両に異常をうかがわせる痕跡はなかった」とし、ブレーキとアクセルの踏み間違えが暴走の原因と主張していた。

これに対して飯塚被告の弁護側は、車の経年劣化によってブレーキが利かなかった可能性を主張し、「事故後の検査で異常がなくても、再現できない異常が何らかの要因で発生したことが否定できない」と訴え。さらに飯塚被告も、被告人質問で「アクセルは踏んでいない」「ブレーキを踏んでも減速しなかった」と、自身の過失を繰り返し否定していた。

このように両者の主張は平行線のまま、今日の判決を迎えることとなったが、事故で妻と娘を失った松永拓也さんは今年8月、あくまで自身の無罪を主張し続ける飯塚幸三被告に対し、自身のブログで「一審の判決が出たら、もう辞めにしませんか」と、自身のブログで異例の呼びかけ。松永さんは「『どうすればこういった事故を無くせるのか』という視点を共に持ちませんか」「その為にできる事は、これだけの証拠を前にして『車のせいだ』と言い続けることでは決してないはずです」とも述べ、長引く裁判への嫌気を素直に吐露するとともに、飯塚被告に対しては自己弁護をやめ、心からの謝罪を行うことを求めていた。

判決前のSNS上の反応も、被害者側に有利な判決が出ることを期待する声が多くあがっていた一方で、事故後に逮捕されないなど「上級国民」と揶揄されるような優遇を受けていた飯塚被告だけに、いわゆる“忖度判決”の可能性も拭いきれないという見方も。地裁前には、傍聴券を求めて午前中から長蛇の列ができ、22席の一般傍聴席に対して563枚の整理券が配布されるなど、その判決内容に対して大きな注目が集まっていた。

飯塚被告側が控訴するか否かに注目集まる

このように今回は禁錮5年の実刑判決が出たものの、あくまでこれは地裁の判断。当然、この後も高裁・最高裁へと場を移して裁判を続けていくことも可能だ。

今年6月の公判においては、松永拓也さんが「刑務所に入ってほしいと思っているが、覚悟はあるか」と問いかけたのに対し、飯塚被告は「はい、あります」と発言。さらに有罪になったら控訴するかとの問いに関しては「わからないが、なるべくしないと思う」と答えており、控訴するか否かに関しては、どちらとも言えない態度を取っている。

実際、禁錮5年の実刑判決となれば、このまま控訴しなければ数日後に収監される見通しだが、もしも控訴するとなれば拘束はされず、これまで通り在宅のままという形となりそう。ただ、先述の通り、被害者側がこれ以上の係争を一切望んでいないと表明していることもあって、飯塚被告側の控訴の動きに対しては、否定的な声が多い状況だ。

もう無益な裁判はもう止めにしたいと訴える松永さんの呼びかけは、果たして飯塚被告に届くのか。今後は被告側が控訴するか否かに注目が集まることになりそうだ。

Next: 「何の落ち度もない母子を轢き殺した罪に対しては軽すぎる刑」

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