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岸田総裁「3本の矢」堅持が命取りに。アベノミクスが生んだ貧富格差は“脱・新自由主義”で解消するか?=原彰宏

景気の足を引っ張った消費増税

「リフレ派」と呼ばれる人たちの考え方は、経済がよくなれば、企業業績がよくなって、その分、税収が増えるというものです。つまり、増税をしなくても、景気を引き上げることが財政再建にはよいとする立場です。

基本、安倍総理もその立場だったのですが、民主党との3党合意の縛りからか、財務省の突き上げが強かったのか、消費税率を引き上げました。

間違いなく消費税率の引き上げは、景気の足を引っ張ります。

2014年に消費税率を8%に引き上げたことが、アベノミクス効果を減退させたと竹中平蔵氏は指摘しています。その後の景気回復失速、インフレ率低下を招いたと思います。

2014年、消費税率は8%になりました。その年の11月、消費税率を8%から10%に引き上げる予定を延期しました。

延期は良いのですが、8%に消費税率を引き上げた景気減速を体験したことで、それを回避するために黒田日銀が増税予定の前日10月31日に「黒田バズーカ 第2弾」を発動しました。緊急声明で、量的質的金融緩和規模を拡大したのです。

ところが安倍総理は、その翌日の消費税率引き上げを延期。そして、そのことを国民に問うとして、年末には衆議院を解散をしました。黒田総裁が立て掛けたはしごは、無残にも蹴飛ばされました。

結果、めちゃくちゃ大きく拡大した金融緩和政策だけが残った感じです。

どんどん市中資金量は増大、日銀資産は拡大の一方です。

そして、安倍総理はもう1回、税率引き上げを延期。景気回復は見込めず、日銀はマイナス金利に突入…。

日銀はもう助け舟が出せない状態で、安倍総理は耐えかねて、2019年10月に消費税率を10%に引き上げました。日銀は何も援護できず、景気は失速です。

竹中氏が言う「消費税率引き上げが悪い」という話は理解できますが、その後の安倍総理が日銀との連携を無視して「黒田バズーカ 第2弾」をうまくいかせなかったことも、アベノミクス失敗の要因として指摘したいです。

どうせ消費税率を10%に上げなければいけないのなら、あのときに、「黒田バズーカ 第2弾」の翌日にすべきだったのではないでしょうか。

2014年の衆院解散は、自党勢力安定のための解散だったのでしょうか……。

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