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岸田総裁「3本の矢」堅持が命取りに。アベノミクスが生んだ貧富格差は“脱・新自由主義”で解消するか?=原彰宏

新自由主義は“オワコン”か

景気を良くするために、また経済活動を活発にするために構造改革は必要だというのが、小泉内閣での「構造改革なくして景気回復なし」の大スローガンでした。

「官から民へ」です。政府が背負い込むものはなるべく軽くして、民間でできるものは民間に任せよう。そうしないと政府の財政が持たない…。

よく言われる、「小さな政府」理論です。

逆に、社会保障を膨らまして、なるべく政府の関与を増やすのが「大きな政府」理論です。北欧の福祉国家の形がそうですね。

いまコロナ禍で議論されているのが、「小さな政府」を目指すのではなく、国が国民生活を守るために財政出動を惜しまないというものです。

かつてイギリスは「ゆりかごから墓場まで」という福祉大国でしたが、財政が立ち行かなくなり、サッチャー政権時に「サッチャリズム」と呼ばれる、国営の水道、電気、ガス、通信、鉄道、航空などの事業を民営化し、民営化分の政府部門の経済を削減する政策に転換しました。

米国では、同じ頃に、レーガン大統領が、減税・財政支出削減・規制撤廃などを進めた「レーガノミクス」を打ち出しました。

スタグフレーションと呼ばれる、景気が悪いのに物価が上がるという、生活者にとってはかなり厳しい状況に、米国はありました。その中で出てきたのが、レーガノミクスやサッチャリズムと呼ばれる新自由主義でした。デフレからの脱却という、日本政府のスローガンと重なりますね。

徹底した規制緩和で経済を活性化さえ、民営化推進で政府のサイズを小さく軽くするものです。

中曽根内閣で始まった国鉄民営化・電電公社・日本専売公社の民営化。小泉内閣における郵政民営化・道路公団の民営化。

そして、市場は市場に任せる。民間企業の競争を阻害する規制は撤廃することで、競争を促進して経済を発展させる……という政策を日本も取りました。

日本が「新自由主義」と呼ばれるものに、舵を切ったのです。

新自由主義の副作用で格差拡大

その副作用として、競争激化による分断、格差が広がったと、野党は批判しています。

岸田元政調会長は、自民党総裁選挙で「脱・新自由主義」を掲げ、野党はこぞって今までの自民党が取ってきた「新自由主義」を批判してきました。

この、財政再建が必要とする議論の横から割って入ってきたのが、「MMT理論」なのですね。政府の政策は、税収入ではなく国債で行うとする理論です。

新自由主義はオワコンなのか。世界では、すでに「トリクルダウンはなかった」ことを認め始めています。右に寄りすぎた政権が、真ん中あたりに戻されてきています。

その世界の流れの中で、自民党新総裁が岸田氏に決まり、秋の総選挙があるのです。

日本はどこに向かおうとしているのでしょうか。それを決めるのは、私たち国民の1票です。

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