「物価上昇率2%」目標は終焉させるの?継続させるの?
岸田新首相は、この日銀の緩和と実質物価上昇率2%を大義名分にした国債買い入れの金融抑圧政策をいったん終焉させるのか、このまま延々と継続させるのかについて、黒田総裁を含めて政策判断をしなくてはならない状況にあることが見えてきます。
ここをどうするかを決めなくては、「新しい資本主義」など実現させることはできないのは明らかです。
どうして本邦メディア各社は、そういう視点で質問をしないのかいささか呆れるところです。
現役財務事務次官がMMT型バラまきを批判するという異常事態
そんな最中に、現役の財務事務次官である矢野康治氏が、文芸春秋に次のような内容で寄稿しています。
数十兆円規模の経済対策や消費税率引き下げなどが与野党で主張されていることについて、国庫には無尽蔵にお金があるかのような話ばかりが聞こえてくると指摘。日本の財政の現状について、タイタニック号が氷山に向かって突進しているようなものと強く警告しています。
このままカネの使い放題を放置すれば、日本国債の格付けに影響が生じかねず、日本経済全体にも大きな影響が出ると警鐘を鳴らす内容です。
この主張は、一応、辞任前の麻生太郎にも事前了解をとったそうですから、覚悟のうえの問題提起・投稿とも言えそうです。
いつまで日銀の財政ファイナンスは続くのか
ただ、同じ財務省出身の黒田日銀は、アベノミクスの緩和政策の名のもとですでに500兆円以上のJGB・日本国債の買い入れを行った主犯格でもあります。
既発行額の半分以上を事実上の財政ファイナンスの形で政権に提供し、安倍首相もそれをいいように享受して世界各国に対してもバラまきを行ってきたわけですから、今頃になってそんな指摘をするのかよ、という批判も出てくるところです。
この日銀の財政ファイナスを終焉させるのかどうかも、新たな経済政策を行ううえで大きな議論のポイントになることは間違いありません。
岸田新首相は、いったいこうした指摘にどう応えるのかも注目されます。