長期投資には不向きか
業績を見てみますと、正直あまり冴えない展開が続いています。

INPEX<1605> 業績(SBI証券提供)
原油価格と連動するということも確かですが、世界においても必ずしも強い力を持っている会社でもありませんし、さらには脱炭素の流れも続いていますから、このように業績にはあまり芳しくありません。
キャッシュフローを見ても、一方では採掘を続けなければならないので緑の投資キャッシュローはどうしてもマイナスが大きくなってしまいます。

INPEX<1605> キャッシュフロー推移(SBI証券提供)
その結果、フリーキャッシュフロー(営業CF-投資CF)はマイナスの年が多いというところになっています。
フリーキャッシュフローがマイナスの年が多い会社というのは、どんどん会社からお金が無くなっていくので、価値を増やしていくのは容易ではありません。
したがって、価値を継続的に増やすの難しいでしょうし、原油価格が上がり続けるという想定もなかなかできないので、長期投資向きの銘柄とは言えません。
配当銘柄としても難アリ
一方で、株価が原油価格に連動するとしたら、株を持っている間は配当がもらえますから、配当が高ければ良いのではないかと見えるかもしれません。
今期の予想のインペックスの配当利回りは4%を超えています。
インペックスの配当方針は、固定配当が24円で、業績が良い時はトータルで配当性向が30%を超えるような配当も出すと言っています。
今期は原油価格の高騰によって業績が良いと想定されますので、配当が40円という予想を出しています。 これを踏まえた時の配当利回りが4.15%となります。
それなら良いのではないかと思うかもしれませんが、インペックスの業績は原油価格に連動するので、原油価格が下落した時には当然、業績も下がります。 そうなると、24円の下限にまで達してしまう可能性もあるわけです。 その時の利回りは2.49%というところになってきますから、配当銘柄にもなりにくいかと思います。
同時に株価も下がるということになりますので、ダブルのマイナスを食らうというところになってきます。
石油関連で長期で持つなら、以前解説したエネオスなどの銘柄をおすすめします
(※編注:今回の記事は動画でも解説されています。ご興味をお持ちの方は、ぜひチャンネル登録してほかの解説動画もご視聴ください。)
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『バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問』(2021年10月24日号)より
※記事タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。