コロナ・パンデミックの影響
選挙への関心を呼び起こした要因の1つに、コロナ・パンデミックがあります。
これは通勤通学を困難にし、テレワーク、オンライン授業を余儀なくしたほか、若者の休業、失職をもたらし、生活を圧迫した面があります。
若者だけでなく、飲食店や娯楽施設などは長期間休業要請に合い、その協力金もすぐには出ず、経営を圧迫しました。
飲食店、旅館、ホテルの休業は農水畜産業にも大きな打撃を与え、収入の激減、経営悪化をもたらしました。
これに対する政府の対応が不十分として、農村での政府に対する怒りが高まりました。自民党の基盤でもある農村で、自民党離れが起きています。
またワクチンを打ちたくても予約できない不満、不安が若い人の間で広がりました。
かつては就職機会の増加などで、若い人の間に安倍政権支持の声が多く聞かれましたが、コロナの感染拡大では、若者の間に不安、不満が広がり、政府への反発が目立つようになりした。
その勢いで「選挙に行こう」となると、与党は苦しくなります。
安定か緊張感か
岸田政権は、野党の連携が進む前に選挙をしようと、異例の早期解散総選挙を選びました。それにも関わらず、一部の調査によると、最大90の選挙区で「接戦」の予想となっています。
与党は「政策理念の異なる野党が選挙のためだけに野合している」と批判し、それよりも政策や政権の安定を維持できるのは自公政権だけだと訴えています。
これに対して野党は、長年自公の絶対過半数で政権の安泰が続いた中で、政治が腐敗し、政治の私物化が進んだと与党を批判。岸田政権ではこの体質を変えられないとして、政権交代を求める声や、少なくとも与野党が拮抗し、政府が緊張感をもって政治を行う形を作るべきと訴えています。
安定をとるか、緊張感の回復をとるかを問う形となります。
小選挙区制が裏目に
96年に小選挙区制を導入してから、得票1位の党が議席をとる形となり、得票率が低くても多くの議席を得る「偏り」が生じやすくなっています。国民の25%の支持で7割の議席を得る事態も生じました。
自民党の狙い通りとなりましたが、今はこれが裏目に出ています。小沢一郎氏の働きかけで、予想以上に野党の一本化が進みました。
これまで過半数の票を取らなくても1位になれば議席を得られたのが、野党が1本化されると、反自民票が野党に集まる可能性があり、逆転される可能性があります。
今回は野党がこの小選挙区制にあった選挙戦略、選挙協力をしたことで、与党か反与党かの選択選挙となります。野合と言われても、敵の敵は味方というのが戦国の世からの習いです。
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