今年は31年ぶりに日経平均がバブル後高値を更新しましたが、ドルベースの時価総額の伸びを見ると、もはや日本は三流国と成り果てています。2022年4月の東証「市場再編」も期待できず、世界市場における日本の存在感はますます薄れてしまいそうです。(『今市的視点 IMAICHI POV』今市太郎)
※本記事は有料メルマガ『今市的視点 IMAICHI POV』2021年12月18日号の抜粋です。興味を持たれた方は、ぜひこの機会にバックナンバー含め初月分無料のお試し購読をどうぞ。
岸田首相の「自社株買い規制」匂わせで株価下落
岸田首相が国会答弁の中で「分配」に絡めた視点から、民間企業の自社株買いに何らかの規制を加えかねない発言をしたことで、株価が下がる場面がありました。
米国でもストック・オプションで報酬を得ている雇われ経営者であるCEOが、自らの取り分を増やすために、やたらと自社株買いをしていることを、民主党左派のエリザベス・ウォーレンなどが厳しく批判して規制をかけようとしています。
これとは理由が異なっても、主要国では自社株買いに規制が出る世の中になるのは、時間の問題なのかもしれません。
しかし、この自社株買いは、米国の株式市場では、ここ数年相場を持ち上げる最大の材料になっているのもまた真実で、本邦でも同様のことになっているのは紛れもない事実です。
しかも、この国では自社株買いがあっても株価は停滞を余儀なくされており、日経平均が9月に3万円台を回復したことで、なんとなく株式相場は戻しているといった感が醸成されていますが、この1年の地盤沈下は目を見張るものがあるのが実態となっています。
世界は日本株のことなど気にしない
GAFAの時価総額の合計のほうが、東証のそれより大きいというのは有名な話。
さらに引きから日本の株式市場を眺めて見ますと、東証の時価総額合計の対世界比は、今年すでに5.3%台にまで落ち込んでしまい、ほとんど世界の株価に影響を与えない存在になったことがわかります。
バブル絶頂の1987年あたりは、本邦の株式時価総額は120兆ドルを軽く超え、世界的なそのシェアは40%超となっていました。上位100社には金融・生保・メーカーなどがゴロゴロと名を連ねていたのがまったく嘘のような状態です。
安倍元首相などは、この頃の日本のポジションがまだ続いていると錯覚して、他国にばらばらとカネをバラまいていましたが、実はもはやバラまく側ではなく、施しを受ける側にまわってしまっているのが現実の状況なのです。