コロナ禍での大判振る舞いによって、日本を含め世界各国にインフレの波が押し寄せて来ています。今後、私たちの生活は増税と物価上昇で苦しくなることは確実でしょう。私が継続して取材をしているジム・ロジャーズ氏も常に、日本は衰退へ向かうと警告しています。この時代を生き抜くには倹約と賢い投資がますます重要になってきます。(『花輪陽子のシンガポール富裕層の教え 海外投資&起業実践編』花輪陽子)
※有料メルマガ『花輪陽子のシンガポール富裕層の教え 海外投資&起業実践編』2021年12月24日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
外資系投資銀行を経てFPに。2015年からシンガポールに移住。ジム・ロジャーズ著『日本への警告 米中朝鮮半島の激変から人とお金の動きを見抜く』(講談社+α新書)をインタビュー監修。『シンガポールで見た日本の未来理想図』(講談社+α新書)『夫婦で貯める1億円!』(ダイヤモンド社)など著書多数。「ホンマでっか!?TV」「有吉ゼミ」などテレビ出演や講演経験も多数。
アフターコロナを見越して始まる大増税
税制改正大綱が発表されました。今回、資産運用をするうえでもインパクトのある改正であったため、解説をしたいと思います。
注目したい変更点は以下になります。
・住宅ローン控除の控除率の縮小(1%→0.7%)
・住宅取得資金贈与の非課税枠の縮小(非課税枠最大1500万円→1000万円)
・コロナ禍で導入した固定資産税の負担軽減措置を住居地で取りやめ(商業地は最大2.5%増)
また、金融資産課税の強化が一部盛り込まれ、株式配当などの課税を所得税と地方税で課税方式を選べる制度が24年度に廃止になる予定です。
株式配当の使い分け廃止は、日本で資産運用を行っている年金世帯などにはインパクトがあるでしょう。
そもそも配当課税方式って?
そもそも配当課税方式には3つあります。
1つ目は「申告不要制度」。配当を受け取る際に所得税15%と住民税5%の約20%が源泉徴収されます(復興特別所得税あり)。
そのほか2つは、いずれも確定申告が必要なタイプです。2つ目は配当を給与など他の所得と合計をする「総合課税」。3つ目は給与などと分けて申告をする「申告分離課税」になります。
配当を含めた課税所得が900万円以下の人は確定申告で、所得税は総合課税を選び、住民税は申告不要の届け出をすると、所得税の「配当控除」を利用して一定割合の軽減を利用できます。また、住民税は申告不要によって、源泉徴収税率の5%で済みました。
このために所得税住民税の実質税率は源泉徴収税率の20%よりも軽くなるという節税が生まれたのです。
この使い分けが、24年度から「廃止」されます。所得税・住民税とも総合課税になると、実質税率は2.2%程度(課税所得金額900万円以下の場合)上昇します。
申告不要制度を選択した場合、上場株式等の配当所得などは国民健康保険料の算定対象には含まれません。総合課税を選択すると、国民健康保険料にも影響を与える場合もあるために、税理士等に相談をして選択をするとよいでしょう。