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奨学金のどこが「悪質な学生ローン」なのか?返済に苦しむ若者が見落としている5つの自業自得=午堂登紀雄

奨学金を悪く言う人への5つの疑問

<疑問その1. 奨学金は借入であり、卒業後には返済が始まるという説明を受けたのではないか?>

大学の職員として勤務する私の友人曰く、奨学金は借金であり、卒業後に返済が始まるということはしっかり説明しているそうです。

つまり自覚があるなら、将来の奨学金の返済は織り込み済みで学生時代を過ごし、就職し、社会人生活をスタートさせると思うのですが…。

よく聞くのが、どこにも就職が決まらずとりあえず派遣に登録したが派遣切りに遭ってしまって返済できないというケースですが、そういう人に限って「自分はどういうスキル・能力を獲得しなければならないか」という戦略がないことがほとんどです。

<疑問その2. 借り過ぎかもしれないという自制は働かなかったのか?>

私の場合、高校は公立だったので月6,000円ちょっと。大学は自宅外・文系だったので確か月5万円台だったと思いますが、学費が高い医学部や理工学系はもっと借りられるようです。さらに大学院まで奨学金で進めば、その金額は高額になります。

それで何かの記事で600万~800万円借りて返済が苦しいという取材記事を読んだことがあり、それは親の金銭感覚でさえ厳しいと思いますが、親はセーブさせなかったのでしょうか。

むろん、国公立でも学費は高くなり、かつてとは状況が違うことは知っています。また、私のようにバイトしないと生活できないという場合、生活費も含めて手当できるよう、奨学金は借りられるだけ借りるというケースもあるかもしれません。

しかし卒業後の職業選択がほぼ視野に入っている医学部や一部の理工系学部などはともかく、総額600万円を超えるような金額は、さすがに親でもビビるのではないかと思います。

<疑問その3. 借金してまで進学する以上、元を取るべく学生時代に努力をしなかったのか?>

お金を借りて進学するとは、それ相応の覚悟が必要です。では自分はそもそも何のために進学するのか?進学して何をするのか?

ただ周囲が進学するから、親が大学に行けというから、なんとなく大学に行くのが当たり前だから、メディアが高卒と大卒では生涯年収が違うと煽るから、などという流されての進学では得られるものは多くなく、それは就職先選びやそこでの収入にも反映されるような気がします。

私は当時は幼くてそこまで明確ではなかったものの、講義のほとんどがつまらないと感じてからは公認会計士を目指して専門学校に通うようになりました。

その費用も分割払いで、さらに借金が増えてしまったわけですが、お金を借りた以上は当然ながらそれ以上の人間になろうともがいていました。

そもそも私が進学しようと普通科高校へ進もうと決意した中学当時、いまから約35年前は大学に行くことが人生の可能性を広げるための、限られた方法でした。

スマホもないしネットで起業なんて生き方は存在しなかった。今ならネットショップの出店には1円もかかりませんが、当時はそんなものはありませんでした。

今ほどの選択肢がないあの時代、大学に行くのがベストだろうと思っていました。

しかしもはや大学に行けばすべてがうまくいくという時代環境ではありませんから、そもそも大学進学は必要なのか?から問い直してみた方が良いかもしれません。

それでやはり進学したいということであれば、自分はどのように学生時代を過ごすのか、ある程度のプランを立てておくことです。その4年間の過ごし方が、その先の進路を決めることになるからです。

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