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奨学金のどこが「悪質な学生ローン」なのか?返済に苦しむ若者が見落としている5つの自業自得=午堂登紀雄

奨学金は自己投資

そして、学費を用立ててあげられない保護者にも一言。

奨学金という借金を背負わせてしまうなんて子がかわいそうだとか、学費を工面できない情けない親で申し訳ないなどと思わないでいただきたいのです(むろん、身の丈に合わない金額の借り過ぎは問題ですし、親の口座に奨学金を振り込ませて親が使い込むなどは論外ですが)。

なぜかというと奨学金とは、お金がない世帯でも進学できるという、チャンスをモノにする手段のひとつだからです。

前述のとおりギャンブルや遊び、ブランド品を買うなど欲望を満たす自己満足のための借金は、あとから苦しくなる可能性があります。

しかし自分の価値を高める自己投資としての借金は、むしろ将来の可能性を広げチャンスを引き寄せる行為です。

就職先にもよりますが、生涯年収が3億とか4億とか稼げるなら、それが数百万円くらいの借入で手に入るなら、安いものではないでしょうか。

奨学金は自立への一里塚

もうひとつ。奨学金で進学することを親子でしっかり話し合って納得すれば、それは自立への一歩になる得るからです。

たとえば行きたい学校の学費はいくらか。生活費はどのくらいかかるか。そのためにいくら借りて、卒業後は毎月いくらの返済が、何年間続くのかはすぐわかります。

そういう状況を想定したうえで、将来はどういう職業に就くためなのか。具体的なものがなければ、その学校・学部を卒業して就くであろう平均的な職種を選び、新卒時の年収や年代別の平均的な収入を調べてみる。

ではその収入の中から、借りた奨学金を返済できるのか、計算してみることは誰でもできるでしょう。

そしてその中から家賃はいくらまで負担できるのか。ではその家賃で住めるのはどういう場所のどんな物件か。さらにはスマホ代金や食費などはいくらまで使えるのか。そうやって計算してみたとき、自分が思ったような生活ができるのか、できないのか。

むろん妄想に近い部分もあるので厳密に計算することにはあまり意味がありませんが、これら一連の想像力を働かせることは、高3にもなれば理解できない話ではないと思います。

そして進学後も、「やりたいことと豊かな生活が両立できる企業や職種に就くには、学生のうちにこういう経験が必要だ」とか、自分のスキルに対しても「自分の大学・学部レベルでは難しいから、今からこのスキルの習得をしておこう」と考え、より真剣に学ぶ動機づけになる。資格を取得したり語学を学んだり、仲間とプチ起業してみようか、などと経験を広げようとする。

そうした姿勢は仕事やお金の面に限らず、人生のリスクすら極小化できるのではないでしょうか。

奨学金の返済という緊張感があるからこそ将来の展望を考えるでしょう。そしてこれは自立につながる。だから奨学金で子を進学させることに、罪悪感など抱く必要はない。

子が納得し、それでも進学したいという強い意志を持っているなら、堂々と奨学金を借りて送り出してやればいいと思います。

Next: そもそも、大学進学は本当に価値があるのか?

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