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年金マネーの“ヘッジファンド離れ”とCTA(商品投資顧問)の生存戦略=荒川雄一

好調な実績を残したCTA(商品投資顧問業者)の運用戦略とは?

ヘッジファンド業界全体としては、非常に厳しい状況ではありますが、個別戦略を観ていくと、年明け以降、好調な実績を残している“ヘッジファンド戦略”もあります。

それは、“CTA(商品投資顧問業者)”の戦略です。

商品投資顧問と聞くと商品市場をイメージするかもしれませんが、実際には、コンピュータープログラムによって、100から400以上の取引市場において、24時間自動売買を行うヘッジファンドのことです。

CTAが、昨年来、好調を維持しているには、“理由”があります。それは、昨年、金や原油といった商品相場が、12年ぶりの大幅下落をしたからです。

商品相場下落の主要因は、

  1. 中東産油国や米シェール原油の増産による生産超過(過剰供給)
  2. 中国需要の落ち込み(中国の成長率の鈍化)
  3. 米ドル高(国際商品は、ドル建で取引されるため)

の大きく“3つ”が考えられます。

そして、ここまで明確に“下落トレンド”が出ている市場は、他にはありませんでした。まさにトレンドフォロー型のCTAにとっては、「原油」は、“絶好のターゲット”となったのです。大手運用会社をはじめ、多くのCTA業者が、この原油先物の“売りポジション”で収益を上げました。

マーケットの「リスクオンとオフ」が、目まぐるしく変わる市場においては、トレンドフォロー型のヘッジファンドは苦戦を強いられますが、トレンドのはっきりしている取引市場を選別することによって、好調を維持することができます。

今のところ、原油価格の上昇要因は見当たらない状況ですが、大きく反転する機会がくれば、逆に、その上昇トレンドに乗れるかどうかが、今後の腕の見せ所と言えるでしょう。

業界としては資金流出が続くヘッジファンドですが、個別戦略で生き残りをかけた競争が、しばらく続くこととなりそうです。

【関連】先物主導の乱高下相場を作り出すCTA「1枚アルゴ」の特徴=街

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海外ファンドで資産を作ろう!』(2016年4月29日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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