ロシアのまさかのウクライナ侵攻で、原油価格を筆頭に物価が確実に上昇しています。このままだと日銀の目標達成が見えてきて、逃げ切り体制だった黒田総裁も出口戦略について市場に語らないといけない状況になりそうです。(『今市太郎の戦略的FX投資』今市太郎)
※本記事は有料メルマガ『今市太郎の戦略的FX投資』2022年3月1日号の一部抜粋です。興味を持たれた方は、ぜひこの機会に初月分無料のお試し購読をどうぞ。
ウクライナ侵攻で原油高騰、日銀「実質インフレ率2%」達成が見えてきた
ロシアのまさかのウクライナ侵攻、そして西側諸国の厳しい制裁が決定され、原油価格は確実に上昇軌道を描いています。WTIの先物はすでに100ドルを超える状況で、さらに上昇が常態化する恐れも出始めています。
ゴールドマンサックスはここから1か月以内に1バレル115ドルになるとも予想しており、100ドルが節目で上限になる気配はまったくありません。
こうなると気になるのが、日銀が8年近く緩和措置の大義名分として掲げている実質インフレ率2%達成の問題です。
この目標達成、当初は掲げてから2年以内に達成できなければ辞任するなどという勇ましいことを口にした副総裁もいました。しかし結局、達成できていなくても誰も責任を取っていません。
そしてとうとう「黒田総裁の在任期間いっぱい」これを目標としてズルズルと量的緩和を継続して逃げ切りをはかるように見えました。
しかし、思わぬロシアのウクライナ侵攻と、その後の様々なロシアへの制裁は、結果的にますます原油と天然ガスの価格を上昇させる大きな要因となっています。
すっとぼけて緩和継続か、終了か
この間、黒田総裁はすでに回顧録も執筆しはじめており、辞める気満々。本来なら、この2%目標が達成してしまう前に、前倒しで辞任してしまいたいのではないか?と思う次第です。
しかし残念ながら、今回のロシアの暴挙の結果、原油価格が大幅上昇。念願(?)の実質インフレ率2%を達成してしまいそうな気配が強まっています。
とはいえ、これを瞬間的に達成してしまった場合には、「年間での達成が目標」といった方便も飛び出して当面無視するのかも知れません。
しかしながら常態的に2%を超えることとなった場合には、シカトだなどと無視しているわけにはいかない状況に追い込まれそうです。
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