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円安で再び脚光「ビットコイン」は安全資産になりえるか?暗号資産の歴史と現在の潮流、乗り越えるべき課題とWeb3後の世界とは=山本仁実

円安が止まらない。各国の金融政策やパワーバランスで通貨の価値が大きく上下する現代において、暗号資産(仮想通貨)が再び脚光を浴びている。ビットコインやブロックチェーン技術はこの先どこへ向かうのか。歴史と現在の潮流について解説したい。

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プロフィール:山本 仁実(やまもと ひとみ)
株式会社サクラエクスチェンジビットコイン(SEBC)代表取締役。フランス・スイスにて国連機関でのインターンに従事。2016年9月マサチューセッツ工科大学 Fintech Future Commerce修了。日本が暗号資産の世界最先端国になることを確信し、大学院在学中に起業。「Crypto for Happy」をテーマに暗号資産の仕組みを用いた社会貢献、人を幸せにするプロダクト開発を目指し活動中。毎日放送「よんチャンTV」、TBS「NEWS23」などメディア出演多数。

インターネットが変えた世界

未来を予測する精度を高めるためには、まずは過去から現在までの流れを把握することが重要である。そこで、暗号資産誕生以前までのインターネットの歴史について簡単に振り返ることとする。

インターネットの誕生は、人々の情報伝達手段に革命的な変化をもたらし、情報世界での距離と時間を一気に消し去った。拡大していくWebのネットワークの中で、人々のコミュニケーション手段は飛躍し、世界中に散らばっていた同じ思想を共有する者同士の共同活動を可能にした。その結果、デジタルの世界での生産性は劇的に向上し始めたと言える。

OSS(オープン・ソース・ソフトウェア)ムーブメントは、その流れで到来した。人々はコードを書き、協調し、さまざまなプロダクトを世に送り出した。そのプロダクトは文字通り世界を変え始め、そこに産業が生まれた。

書籍『伽藍とバザール』の中で、著者のエリック・レイモンドは言っている。

インターネットのかぼそい糸だけで結ばれた、地球全体に散らばった数千人の開発者たちが片手間にハッキングするだけで、超一流のOSが魔法みたいに編み出されてしまうなんて、ほんの5年前でさえだれも想像すらできなかったんだから。

出典:『伽藍とバザール』(著:エリック・レイモンド/刊:USP研究所)

ソフトウェア、つまりは現在の社会のインフラとなっている複雑なシステム群は、無数の開発者の手によって書き換えられ続けた。世界の構成部品の基幹部分から書き換えられて、わずか数年で世界の構造は変わることになった。人類は情報化社会を迎えることになる。

急激な変化に弊害が付き物である。インターネットという広大で無秩序な世界と、ソフトウェアの大いなる可能性を目の当たりにし、それをうまく利用する組織も出てくる一方で、それに脅威を感じる人々も出てきた。

「暗号技術によって、人々は武装すべきである」

この頃、社会に影響を与えた動きのひとつに、サイファーパンクがあった。暗号技術によって、人々は武装すべきであるというその思想は、その当時は多くの人に異質に映ったに違いない。

しかし今になって振り返ってみれば、情報を守ることの重要性はいくら強調してもし過ぎることはなく、個人の人権から健全な国家・政治の運用、さらには生命の尊厳に至るまで、今では情報がその命運を左右する。

ビットコインは、その文脈の中で育まれた。直接的にはいわゆるリーマン・ショックが引き金となったが、個人の貴重な情報を守るためにSatoshi Nakamotoはビットコインとそれを実現する基礎技術を提唱したのだ。

Next: 金融世界に変革をもたらした「Satoshi Nakamoto」以後の世界

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