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円安で再び脚光「ビットコイン」は安全資産になりえるか?暗号資産の歴史と現在の潮流、乗り越えるべき課題とWeb3後の世界とは=山本仁実

イーサリアム(Ethereum)の誕生

ビットコインが誕生した直後、もうひとつの大きな、そして重要なアイデアが誕生した。それがEthereum(イーサリアム)だ。

ビットコイン誕生の直後から、ブロックチェーンのようなすばらしい仕組みを電子決済にのみに利用するのはもったいないという考え方があった。通貨としての利用に留まらず、電子的な権利の証明や契約の管理に応用できるのであれば、利用シーンは一気に拡大する。

その流れの中で、ブロックチェーンを用いて分散コンピューティング環境を構築するアイデアが形になったわけだが、それはまさにインターネット誕生のころから夢見られていた分散化社会の実現を意味した。

Ethereumは、世界に広がる分散コンピューターとして誕生している。マイニングに参加する世界中のコンピューターのリソースを活用し、どこの誰にも奪われない形で、プログラム<契約>を実行できる。そのシステムによって、契約事がプログラム化さえできれば、安全に管理できるようになったのだ。

すべての情報は公に開示され、誰にも改ざん不可能なため、役所や中央組織に取引内容の正当性を照会したり、結果の改ざんがないように保護を求めたりする必要はなくなる。その結果、取引相手を信用するためのコストが劇的に下がることになるだろう。

ICO(新規暗号資産公開)バブルへ

この、あらゆる契約ごとを電子化できる仕組みである「スマートコントラクト」の誕生が、暗号資産の生態系を変容させ、進化を加速させることになった。

スマートコントラクトがあれば、Ethereum上で通貨すら開発することができる。自らが好きな通貨を発行し、資金調達をすることだってできる。これまでは国家規模の組織でなければ実現し得なかった通貨発行が、信用コストの低下によって誰にでも手軽に扱えるようになったのだ。

ビットコインの存在は成功事例としてこの流れを後押しした。

これがきっかけとなり、技術的な発展を目指す技術者だけではなく、次のビットコインを目指す実業家も暗号資産に参入するようになった。

そして、ICOバブルにつながる。それは急激に成長した新たな産業の負の側面を浮き彫りにし、多くの課題を突きつけることになった。

Next: 短期間で市場急拡大。暗号資産が乗り越えるべき課題とは?

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