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円安で再び脚光「ビットコイン」は安全資産になりえるか?暗号資産の歴史と現在の潮流、乗り越えるべき課題とWeb3後の世界とは=山本仁実

乗り越えなければならない課題

短期間で大量の資金が流入して膨れ上がった暗号資産の市場には、未解決の課題が多くある。

利用者及び投資家の保護を意図した規制や、個々のプロジェクト側のガバナンス体制も発展の余地を残している。セキュリティーに至っては、致命的な損害を繰り返し、大規模なハッキング事件を頻発させ、何度も史上最悪の被害額を更新している。

オープンソースプロジェクトにとっては、不具合の発覚とその改善は尽きることがない。むしろ、多くの人が関わるからこそ、早期に問題点が叩き出されて、同時に改善案が議論できる。未完成で未発達な状態が人目に晒されることで、質を高めていくカルチャーだ。営利企業が非公開な環境でソフトウェアを開発する場合との決定的な違いがそこにある。

だからこそ健全に発展していくのだが、悪い見方をすれば脆弱性も常に開示されている場合もあり、加えて法整備が追いつかないことや、基幹技術そのものが未発達なことも相まって、悪意のある人物が盗難事件を起こす温床にもなっている現状があることは認めざるを得ない。

他にも、ビットコインをはじめとしたブロックチェーンの上に成り立つ生態系には課題がある。処理速度の遅さが最初に指摘され、次に透明性を担保するためのプライバシーの問題も表面化した。他にも、ブロックチェーンを維持するための消費電力や、犯罪利用が問題視されている。

マーケットを歪める「情報の独占」をどう防ぐか?

インターネット全体を俯瞰してみれば、さらに大きな問題が存在する。それは、情報の独占である。

Web2.0時代を駆け抜けた超大企業数社によって独占と寡占が常習化し、大半の市場は単一の製品のみで成り立っていると言っても過言ではない。

エドワード・スノーデンが告発した通り、そのような情報の独占環境は健全な社会を生み出しているとは言い難く、情報が集約することによる弊害が多いことを認める必要がある。

SDGs的なアプローチで情報の集約からの脱却を図る動きもあるが、営利企業のそれはあくまでも自社の中央集権的な利権の拡大維持を前提としている。

昨今突如として注目を浴び始めたWeb3と呼ばれるムーブメントは、その反動として誕生したのではないだろうか。

Next: Web3は平等な世界を創るか。イノベーションを生み出し続ける開発者たち

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