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円安で再び脚光「ビットコイン」は安全資産になりえるか?暗号資産の歴史と現在の潮流、乗り越えるべき課題とWeb3後の世界とは=山本仁実

「Satoshi Nakamoto」以後の世界

未だにその正体がつかめない匿名の人格Satoshi Nakamotoであるが、その人物が発表したビットコインのホワイトペーパーとその思想は、金融世界の変革をもたらした。

言い換えるならば、インターネットを媒介とし、コンピューター技術者や金融関係者を巻き込み、強烈なビジョンを植え付けたのだ。世界中に、同時多発的に、止めようのない革命思想とその実現手段を提供し、多くのSatoshiを生み出した。

後にブロックチェーンと呼ばれることになるビットコインの基幹技術は、中央集権体制に対して「情報」を提供することなく、二重払いを防止することで決済を確実に実施することを可能にした。

そんなブロックチェーンを維持拡大し、経済圏を確固たるものに変えていく協力者たちは、採掘者<マイナー>と呼ばれ、経済的インセンティブを伴う形で賛同者を拡大させて行った。

いくら商業主義者や国家がそこに介入しようとも、ブロックチェーンの経済圏ではあらゆる情報が透明になり、その情報は誰にも奪うことはできない。崇高なビジョンに裏打ちされ設計された仕組みは、今なお形を変えて拡大を続けている。

単なる理想ではなく、実際に稼働し、社会を巻き込んだイノベーションは現実のものとなったのだ。

ビットコイン隆盛の鍵となった「オープンソース」

ここでのポイントは、ビットコインにまつわる一連の出来事がオープンソース活動を起点としていたことだ。

通常、ビットコインのようなアイデアを思いついたなら、スタートアップ企業としてその実現にあたるのが資本主義社会の常であろう。企業として、イグジットを経てリターンを得たい投資家からの資金を募り、株価向上のインセンティブを与えてチームを雇用し、開発に取り組むことになる。当然そこでは、開発企業の利益追求が前提となる。

Satoshiがスタートアップ企業として自らが唯一のビットコインの取引所、唯一のマイナーになっていたら、ここまで広く支持されることは無かったはずだ。また当然に、多くの派生プロジェクトを生み出すきっかけにもならなかっただろう。

多くのオープンソースプロジェクト同様、目的が収益化ではなかったことで、参加者に平等に機会が与えられ、受け入れられたのである。

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