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4年で80万円増!“所得ターゲット”へと転換した「アベノミクス2.0」=藤井聡

600兆円経済の実現には「財政政策」しかない

後は、どうすればベースケースではなく、経済再生ケースで、成長できるのか……なのですが、その答えは明白です。「財政政策」しかありません。

そもそも、物価ターゲットは日銀の目標で、その手段は「日銀の金融政策」でした。ですが、所得ターゲットは、(日銀の金融政策のサポートを受けながら掲げる)「政府の目標」なのです。そして、その手段はもちろん「政府による財政政策」なのです。

それは例えば、サマーズが今年の2月のフォーリンアフェアーズに掲載した、これからの経済政策を考えるうえで決定的に重要な下記論考での議論からも明白です。

長期停滞にどう向き合うか――金融政策の限界と財政政策の役割(導入部のみ)原文はこちら

彼は、(中央銀行による)「物価目標(インフレターゲット)」よりも、「NGDPターゲット(所得ターゲット)」が今、求められていると指摘。そのうえで、上記サブタイトルにも明記されている通り、「金融政策だけでは限界。だから財政政策が必要だ」と論じているのです。

つまり、「理論的」に考えるなら、NGDPターゲットを掲げた安倍内閣には今、『「財政政策をしない」というオプションは存在していない』と言わざるを得ないのです。

事実、安部総理は、このGW中のEUへの外遊を通して、各国に積極財政についての国際協調の調整を図らんと、大きく努力した様子が報道されています。

安倍首相 財政出動への協力要請、独首相 慎重姿勢崩さず – News i TBSの動画ニュースサイト 2016年5月5日付

この総理の努力の背景には、「NGDPターゲット論」があったからだと解釈することができるでしょう。その意味において、安部総理のお考えはこの点について完全に正当であると筆者は考えます。

Next: 財政政策を中心とした「アベノミクス2.0」へ。日本の命運は――

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