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任天堂「株式分割」でのお手頃価格は“買い”か?ゲーム企業特有の弱点とポケモンの成功で見えた成長戦略、株価上昇に必要なこと=栫井駿介

任天堂の弱点

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ここまで見ていただいて、任天堂の弱点。大体わかってきたのではないかと思います。

任天堂、基本的にはゲームの一本足打法です。ゲームを出す。しかしそのゲームが本当に売れるかわからないわけです。

一時期はプレイステーションに押されていたときもありました。そういう競争関係もある。今だったらスマホゲームも競合になると思います。

競合がなかったとしても、そもそもそのゲームが面白いかどうか。あるいは多くの人が遊ぶ要素があるのかわからないわけです。

当たれば大きいけれど、駄目だったときには赤字になってしまう可能性もはらんでいる状況です。
従ってヒットに依存するギャンブル性の高い業績というのが、非常にネックになっていたわけです。

投資家として見たときにも、ゲームのことを知らない、ゲームのこと知っていたとしても、いいゲームが必ずしも売れるとは限らないのです。

それは結構難しいところで、やはりクリエイターの人たちは「良いゲームを作ろう」「レベルの高いゲームを作ろう」と考えています。

それが本当に人々の興味、人々というとみんなが非常にレベルの高いゲーマーたちばかりじゃありません。

むしろ初心者でも使いやすい、プレイしやすいゲームの方が受けたりするわけです。どちらかというと、携帯ゲーム・スマホゲームはそういう要素が強いのかもしれません。

そんな中

  • ゲームが実際に売れるかどうかはわからない。
  • 一方で、ゲームの技術にはついていかないといけない。

いいゲームを作り続けないといけないから、開発費も増えてくるわけです。

そうやって、結局ヒットに依存してしまう今の状態のままだと、当たるかどうかわかりません。ハードあるいはソフトの博打にかけるというところがあったわけです。

従って長期投資家としては、次のゲームが売れるかどうか、分からないとなると、任天堂の株を持ち続けるという話にはなかなかならないのです。

しいて言うならば、その発売の前にその周辺の熱の高まりを見て「ちょっとこれ売れそうだぞ」と思ったら買って、ある程度売れたら株も手放してしまう。そういう対象になってしまいがち。というところがあるわけです。

これを解決するには、どうしたらいいかというところなのです。任天堂が素晴らしい会社であるということは間違いない。

それはゲームの作り込みに、好きな人たちが心血を注いでいるから。これは本当に日本の企業が誇るべき技術、作る人たちの心意気だと思うのです。

ある意味で日本企業を象徴しているかもしれません。「いいものを作ったら売れる」と思っている。あるいはそこしか考えないというところがあります。

ただ、一方で経営者。経営者がやるべきことがそれだと、結局ギャンブル性に依存することになってしまいます。

ゆえにいかに確実にヒットさせて、そして安定させるか。それをやるのが経営者の仕事なのです。

したがって、任天堂は商品は素晴らしいけれども、経営としてはまだ二流だったと言わざるを得ないところがあるのです。

Next: 大きく戦略を転換。キャラクターが売れ始めたらもっと強い?

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