IP戦略成功例:ポケモン
実は任天堂でそれを一番うまくやっているところがあって、それがポケモンなのです。
ポケモンって任天堂だというイメージが強いと思います。しかし実は100%任天堂がやっているわけではなく、株式会社ポケモンという任天堂が株式を30%持っている関連会社がやっているのです。いわゆる別会社だから、うまくいったのかなと思います。
IP戦略はまさにこれなのです。アニメです。今テレビでポケットモンスターのアニメをやってます。これを多分多くの子どもたちは(私はポケモン第一世代でゲームをやっていたのですが)おそらくアニメから入ることが多いのではないかと思います。アニメを見ると、次に何をするかというと、ポケモンセンター、ショップに行きます。うちの近くにもあります。ぬいぐるみなどたくさんグッズが売っています。
子どもたちはポケモンをプレイしたことないんですが、キャラクターにはものすごくなじみがあります。またこれも、ポケモンのぬいぐるみで溢れかえっている。足の踏み場もないという状況です。
私も、ポケモン第1世代でポケモンをプレイしていますから、子どもたちに「このポケモンはこうなんだよ」「ここが強いんだよ」ということで、ドヤ顔できます。
そうやって世代を超えてポケモンに愛着がある。もう少し子どもが大きくなったら、いよいよ「ポケモンのゲームが欲しい」って言い出すのではないかと思います。
それで最終的にゲームを買わざるを得ない。Switchを買うみたいな状況になるのではないかと考えています。
さらにはカードゲーム。それから、ポケモンGo。このポケモンGoが出てきたとき、私はかなり見誤っていました。というのも、ポケモンの権利を持っているのは株式会社ポケモンという会社です。
任天堂はその3割しか持ってない。ポケモンGoがダウンロードされたところで、そんなに儲からないじゃないかと思ったのです。ところが、このポケモンGoで初めてポケモンに触れた子どもたちも多いのではないかと思います。
うちの子どももそうです。スマホだからすぐ無料でダウンロード自体はできてしまいます。そこでポケモンを思い出して「じゃあやっぱポケモンのゲーム買おうかな」ということになって、Switchが売れるわけです。
今後も新しいポケモンの発売も予定されています。このようにIPを使えば、キャラクターになじみがあって、確実に世代も超えていく。ポケモンのゲームが面白いか面白くないか。それはあると思います。
基本的には面白くないといけないとは思うんですが、「そこそこおもしろければ、まあまあ売れてしまう」そういう確実性が上がっていくのです。
このIPがあることによって、ポケモンがNintendo_Switchや、そのソフトの売り上げに貢献していることは間違いありません。これはいわゆる任天堂の外の企業である、株式会社ポケモンだからできてきたわけです。
任天堂がこれを今度は真似して、自社で展開していくフェーズに入っているのではないかと思います。
幸いにして現在の古川社長は、株式会社ポケモンの社外取締役を務めていたので、IPに関する知見はかなり深いものがあるのではないかと思います。
任天堂の価値向上に向けて
そういう意味で、任天堂の価値向上に向けてどうするべきか。今のおさらいになりますが、
- IPに触れる人口を拡大させる。
- ゲームを買ってくれる人たちを増やす。
- 世代継承。
今ファミリーコンピュータが発売されて40年がもうすぐ来ようとしています。
もうファミコンで遊んでた人たちは親になり、そしてさらにその上の世代になりつつあります。その世代が今度は子どもを連れてまたゲームをやるということになると、これはずっと続く。
さらにはそれが拡大しながら続くループを築けるのではないか。そうなったときに、任天堂の価値創造は大きくなるということが想定されるのです。
従って私達が見るべきなのは、これから任天堂がいかにしてこのIPを拡大させていくのか。私達の身近なところに任天堂のキャラクターが出てくるかということが、今後の任天堂の価値創造に寄与してくると考えます。