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財政の私物化を続ける自民党、血税を不公平にばら撒き票集め。インフレを抑制せず「痛み止め」だけ支給=斎藤満

政府が先月28日に閣議決定した総合経済対策では、電気ガス代の削減に1世帯当たり4万5,000円、妊娠した女性に10万円の出産準備金支給、2歳児までの子を持つ世帯に10万円支給などを取り入れ、総額29兆1,000億円の国費を使うと言います。政府や自民党議員は、財政資金は国のもの、ひいては政治家が自由に使えるもの、と勘違いしているとしか思えません。だからこそ、本予算で国会の長い時間を費やした議論を経ずに、補正予算として短期間に、ろくに審議しないで政府の事情で予算を組む形にしています。国民にあたかも「お恵み」を与え、恩を着せて選挙で票をとる算段です。(『 マンさんの経済あらかると マンさんの経済あらかると 』斎藤満)※この記事は音声でもお聞きいただけます。

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※有料メルマガ『マンさんの経済あらかると』2022年10月31日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:斎藤満(さいとうみつる)
1951年、東京生まれ。グローバル・エコノミスト。一橋大学卒業後、三和銀行に入行。資金為替部時代にニューヨークへ赴任、シニアエコノミストとしてワシントンの動き、とくにFRBの金融政策を探る。その後、三和銀行資金為替部チーフエコノミスト、三和証券調査部長、UFJつばさ証券投資調査部長・チーフエコノミスト、東海東京証券チーフエコノミストを経て2014年6月より独立して現職。為替や金利が動く裏で何が起こっているかを分析している。

使途が決まる前に国費29兆円

政府が10月28日に閣議決定した総合経済対策は、電気ガス代の削減に1世帯当たり4万5,000円、妊娠した女性に10万円の出産準備金支給、2歳児までの子を持つ世帯に10万円支給などを取り入れ、総額29兆1,000億円の国費を使うと言います。

内容が固まらないうちに全体の規模29兆円超が先に決まり、決まらない分は予備費でとっておくとのこと。使い道があって29兆円になるならともかく、先に29兆円の規模ありきというのはいかにも乱暴です。

実際、直前まで25兆円で準備していながら、与党内から規模の増額を求められ、急遽29兆円余となった経緯があります。

岸田総理は会見でその点を突かれ、規模も大事で、GDPギャップ15兆円は十分カバーできるが、昨年は2割が未消化で終わったので、余裕を持たせたと説明。また未消化となる懸念があり、本末転倒です。

物価高を抑制せず「痛み止め」をばら撒くだけ?

もともとこの経済対策、物価高対策が主たる目的だったはずです。物価抑制を目指すなら需要を抑制するために財政や金融で引き締め策をとるのが筋です。財政では歳出カットや増税がマクロの物価抑制策になります。

ところが岸田政権がとったのは、物価高の抑制ではなく、物価高を所与のものとして、これに対応する財政支援という形の「痛み止め」で、これは需要拡大の景気刺激策にほかなりません。

また物価高への対応として賃上げ促進を掲げますが、これは企業が決めることです。しかも補正予算を組んで緊急に対応するような性格のものではありません。

このため、物価高対策の看板は下ろし、総合経済対策としました。

先の物価高対応を第1の柱としたほか、第2の柱として円安を生かした稼ぐ力の回復強化、第3の柱として新しい資本主義の加速、第4の柱として国民の安全安心の確保を掲げますが、いずれもお題目だけで具体策がありません。特に上乗せした4.7兆円分は第5の柱「今後の備え」と称して予備費に積みました。

昨年の32兆円対策にそん色ないよう、ただ規模を拡大したとしか見えません。そもそも第2の柱以降のものは補正予算で緊急に対応すべきものではありません。

Next: また選挙対策のばら撒きか。所得再配分効果と不公平感

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