前回記事で日銀の今年9月末の含み損が8,749億円と書きましたが、実はこれがとんでもなく間違った記述であったことが2日に国会に登場した次期日銀総裁候補として有力な雨宮正佳副総裁の発言で明らかになりました。同氏の国会における参考人発言によれば、ここから金利が1%上昇した場合の日銀の含み損は28兆6,000億円となり、それが2%ならば52兆7,000億円になるというのです。(『 今市太郎の戦略的FX投資 今市太郎の戦略的FX投資 』今市太郎)
※本記事は有料メルマガ『今市太郎の戦略的FX投資』2022年12月6日号の一部抜粋です。興味を持たれた方は、ぜひこの機会に初月分無料のお試し購読をどうぞ。
8,749億円どころではなかった日銀の含み損
前回記事で本邦メガバンクの外債投資における含み損のお話の枕言葉で、日銀の今年9月末の含み損が8,749億円ほどで、米国FRBの含み損(日本円にして55兆円)に比べれば可愛いものだ……といった内容を書いてしまいました。
しかし、実はこれがとんでもなく間違った記述であったことが2日に国会に登場した次期日銀総裁候補として有力な雨宮正佳副総裁の発言で明らかになりました。読者の皆さまには正式にお詫びしなくてはなりません。
同氏の国会における参考人発言によれば、ここから金利が1%上昇した場合の日銀の含み損は28兆6,000億円となり、それが2%ならば52兆7,000億円になるというのです。
つまりここから足もとで行っているイールドカーブ・コントロール(長短金利操作)を解除して金利が本格的に上昇することになれば、日銀の抱える含み損はあっという間にFRBのそれに追随し、下手をすればその金額をはるかに追い越すリスクさえあることがわかってしまったというわけです。
日銀は「カネの支払いには困らない」と胸を張るが……
もちろん、日銀は保有国債を満期保有している限りにおいては、時価の含み損がバランスシート上に出てきて債務超過ということにはなりません。
なにより支払いが生じても、紙幣をバンバン刷ってしまえば何の問題もないといった答弁を雨宮氏もしています。
とはいえ、信認性を評価・支持するかどうかはもっぱら市場に依存しています。
日銀が「カネの支払いには困らない」と胸を張っていただいても、日本国債の格付けが下がるといったリスクは当然に顕在化してくることになり、不安は増すばかりの状況に陥りそうです。
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