fbpx

中国ゼロコロナ抗議デモを扇動したのは米国?司令塔の存在と「第二の天安門」には発展しない理由=高島康司

11月24日から28日にかけて中国各地でゼロコロナ政策に反対する抗議デモが起きた。一時は拡大し第二の天安門事件になるかもしれないと不安視されたが、いまは沈静化している。大きな反体制運動になることはまずない。この抗議運動に関しては、20都市で一斉に抗議の意味で白紙が掲げられるなど自然発生的な運動とは到底思えないという意見も多かった。中央の司令塔となる組織が存在したのではないかという疑問だ。そして、それはアメリカであるとの見方がある。(『 未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ 未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ 』高島康司)

【関連】ウクライナ危機で「グレート・リセット」本格始動。ロシアが2月24日に軍事侵攻した本当の理由=高島康司

※本記事は有料メルマガ『未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ』2022年12月9日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

※毎週土曜日or日曜日16:00からLIVE配信予定「私たちの未来がどうなるか考える!メルマガ内容の深堀りと視聴者からの質問に答えるQ&A」世界中から情報を収集、分析し、激変する私たちの未来を鋭く予測する『ヤスの備忘録』でおなじみ、ヤスこと高島康司さんのライブ配信が大人気。世界の未来を、政治経済の裏表だけでなく、歴史、予言、AI、陰謀、スピリチュアルなどあらゆる角度から見通します。視聴方法はこちらから。

中国抗議デモの実態と明らかになる今後

11月24日から28日にかけて、中国各地で突然と発生した抗議デモの裏にある実態と、今後の動きについて解説したい。

中国各地では厳しいロックダウンなど感染を徹底して封じ込めようとする「ゼロコロナ政策」を続ける習近平体制への抗議活動が相次いでいた。きっかけは中国内陸部・新疆ウイグル自治区ウルムチ市内のアパートで11月24日、火の手が上がり、10人が焼死した事故だった。アパート付近が新型コロナウイルス対策で封鎖され、消防車が近づけずに被害が広がったのではないかとの疑念が出た。

一時は拡大し第二の天安門事件になるかもしれないと不安視された抗議活動だが、いまは沈静化している。大きな反体制運動になることはまずない。一連の抗議活動は「白紙革命」「白紙運動」などと呼ばれ、上海を皮切りに、北京や武漢、広州、重慶、成都など、少なくとも20都市に拡大した。

この抗議運動に関しては、日本を代表するチャイナワッチャーの遠藤誉氏が詳しい分析をしている。欧米のチャイナワッチャーの中にも20都市で一斉に抗議の意味で白紙が掲げられるなど自然発生的な運動とは到底思えないという意見も多かった。中央の司令塔となる組織が存在したのではないかという疑問だ。

ロシアの大手紙、「プラウダ」は以下のように書いて疑念を表明している。

「カラー革命」の兆しは明らかだ。きっかけは事故であり、それをもとに国民の「怒り」が扇動される。象徴が存在する。今のメインシンボルは白紙だ。2020年に香港で起きた抗議デモは、在香港米国総領事館の政治部長のジュリー・イードがコーディネートしていた。そのため中国当局から「カラー革命」と呼ばれたのだ。モスクワの「反戦」デモ隊も今年は白いシートを使っていた。

デモ隊が「白紙」を一斉に使うのは、新たな「カラー革命」の象徴としての意味があるので、これをコーディネートした司令塔があるはずだという意見だ。そしてそれはアメリカであるとしている。

アメリカが扇動?「全国解封戦時総指揮中心」の存在

そのような状況で、詳細な分析から今回の抗議運動の司令塔の存在と、さらにその背後にある組織の関与を詳細に明らかにしたのが、日本を代表するチャイナワッチャーで元筑波大学教授の遠藤誉氏だ。

遠藤氏がリサーチすると、ウルムチには「全国解封戦時総指揮中心(全国封鎖解除 戦時総指揮センター)」という組織があり、ここが抗議の意思として「白紙」を掲げる運動を全国に呼びかけていた。ここは、広洲、広東、広西、江蘇、武漢、湖北、四川、杭州、ウルムチに支部があり、それらは抗議運動は行われた地域とほぼ一致していた。

そして、「全国解封戦時総指揮中心」の「宣伝部」を見ると、ここにはアメリカのコロンビア大学のキャンパスと中国領事館前における反ゼロコロナ「白紙運動」への呼びかけが書いてあった。さらに呼びかけの具体名には、2019年にニューヨーク大学の学生が香港の学生たちを支援して、民主や人権など政治問題に関して香港に影響をもたらすために設立した組織である「Hong Kong Student Advocacy Group(香港の学生を支援するグループ)」の名前があった。

さらに、香港を支援しているニューヨーク大学で、国際関係の業務を担っていたクリストファー・ウォーカーという人物は、いまは「全米民主主義基金(NED)」の副会長を務めているという。

こうした貴重な分析は、ぜひ遠藤氏のサイトで確認することをお勧めする。

※参考:反ゼロコロナ「白紙運動」の背後にDAO司令塔 – 中国問題グローバル研究所(2022年11月30日配信)

ちなみに「全米民主主義基金(NED)」というのは、国務省とともにアメリカにとって不都合な国々の体制転換を進めるための工作機関である。一応、立場としてはNGOとなっている。特に、予想しないような結果になってしまったイラク戦争の反省から、アメリカの歴代政権はコストのかかる戦争から、都合の悪い国の体制転換の手法として、国内の民主化要求運動を利用するようになった。

米国務省は「国際開発庁(USAID)」と協力し、「全米民主主義基金(NED)」や「フリーダムハウス」などの政府系NGOを使って、ターゲットとなった国々の国民の不満に火をつけ、体制転換のための民主化要求運動を組織するようになった。抗議運動の活動家は現地の大学などから若者をリクルートし、セルビアのベオグラードに拠点のある革命トレーニングセンター、「CANVAS」などを使って訓練した。

この手法は、中央アジアの旧ソ連共和国や「アラブの春」などの「カラー革命」で使われた。香港の民主化要求運動も支援している。遠藤氏の分析などから見ると、今回の中国の抗議運動は「カラー革命」と同じ手法が使われた可能性が高い。

台湾では独立派の民進党が惨敗し、中国に融和的な方針の国民党が第一党となり政権を担う。これはバイデン政権にとって、民進党という中国牽制の重要な拠点の一つを失うことになる。これから台湾は中国に歩み寄るかもしれない。ということで、今度は中国を「カラー革命」の手法を使ってアメリカが直接牽制する方法に舵を切ったのかもしれない。

Next: 第二の天安門事件にはならない?「革命」を警戒していた習近平

1 2 3 4
いま読まれてます

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

MONEY VOICEの最新情報をお届けします。

この記事が気に入ったらXでMONEY VOICEをフォロー