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京都市バス、SNS上で“倒産危機”が取沙汰。ある意味で評判の「運転手の横柄ぶり」が近年改善?その納得すぎる理由

京都市交通局が経営する京都市バスが、いよいよ“倒産”寸前かとSNS上で大いに話題となっているようだ。

一部報道では、経営健全化団体に転落する可能性も取沙汰されている京都市バス。2010年代には、観光客の急増によって毎年22億~29億円の黒字を計上し、観光需要が高い一部路線の黒字で、市民が主に用いる生活路線の赤字をカバーする状況だったようだが、地元民からは観光客で混雑するうえに時間も読めないということで、市バスの利用を敬遠する傾向もあったとのこと。

いっぽうで人件費抑制のため、1999年度末からは赤字路線を中心に民間事業者への委託も行い、当初は収支の改善に寄与したとのことだが、全国的なバス運転手不足の状況もあり、後々には委託から撤退する民間バス会社が相次ぐことに。

直営台数が再び増えた京都市バスは、2019年、2020年度に運転手と整備士の大量採用を実施することとなったが、その後世の中はコロナ禍に突入。京都を訪れるインバウンドも含めた観光客の数が大激減したことで、たちまち窮地に追い込まれた……といった流れのようである。

運転手の態度が改善…その要因とは?

このように事業存続の危機といった声も聞こえてくる京都市バスといえば、昨年末に経営状況の“見える化”の一環として、2次元キャラとともに「いいですか、落ち着いて聞いてください。年収1,000万円の市バス運転手は存在しません」とアピールするイラストを、SNS上などに公開したことが大きな話題となったばかり。

“待遇の悪さ”を主張するという、あまり例を見ないアピールなのだが、先述の通りコロナ禍によって経営状況が限界まで悪化するなか、いっぽうでは大昔より取沙汰されていた京都市バスの運転手の厚遇ぶりが、今もなお続いているといった誤ったイメージが、地元市民の間で払拭されていないということで行われた模様である。

「年収1,000万円は遠い過去!現在は適正な給与水準です!」と京都市バスがアピールするように、平成11年度には926万円だった京都市バス運転手の平均年収は、令和3年度には542万円に。民間バス会社の運転士の平均年収である529万円と、ほぼ同水準まで下がったわけだが、その反面で市バスと民間の運転手の間で給与差が無くなったことで、民間に運航を委託することによる経費削減のメリットが小さくなるといった状況もあったようである。

いっぽうで、京都市バスの運転手に抱くイメージとして“高給取り”とともに利用者の間で根強いのが、およそ客商売だとは思えないような“態度の横柄さ”。SNS上にも「今思い出しても腹立つ」「中高生の間で何回泣いたか数え切れん」といった“被害”の声、さらには「市バスは運転荒い」といった、運転マナーの悪さを指摘する声も多くあがっているところである。

恐らく市バス側にも、当然そういった悪評は届いていたと思われ、地元紙の報道によれば、元CAを講師に招いての研修を行うなどして、運転手のマナーアップに取り組んでいるとのことで、近年ではその効果もあってか苦情の数も減る傾向にあるとのこと。

ところが、当該記事でも指摘されているように、運転手のマナー改善に最も寄与していたのは、どうやら“ドライブレコーダーの導入”だった模様。以前までなら有耶無耶にされていたであろう、客への不適切発言や荒い運転といった悪事の一部始終が、収録されてバレるようになったことで、結果的に苦情沙汰が減ったという見方が専らのようなのだ。

利用を敬遠する地元民に乗ってもらうには?

実際、問題のある運転手はドラレコがあろうとなかろうがやらかしてしまうようで、昨夏には50代の京都市バス運転手が、前方の乗用車に不必要にクラクションを鳴らしたうえに、その後異なる車線に移った乗用車の前方に進み、2車線をまたぐ状態で停車するという、まさに世間で大いに取沙汰されている煽り運転そのものといった、迷惑行為を働いていたことが発覚

勤続22年だったというその運転手は、これまでに事故や乗客への不適切な対応で5回の懲戒処分と13回の指導を受けていたといい、今回の件で停職6か月という通算6度目の懲戒処分が下され、その後依願退職をしたとのことだ。

しかしながら、そこまで問題のある運転手だったにも関わらず、運転手として長年居続けることができ、最後も退職金が出る依願退職で済む格好としたところには、京都市バスの身内への甘々ぶりが大いに感じられ、京都市バスが運転手のマナー改善に本気で取り組む気があるのかどうかも、大いに疑われかねないところである。

今回、経営健全化団体への転落まで取沙汰されている京都市バスだが、それを回避すべく2024年度ごろには、8%程度の運賃値上げが行われる予定。その場合、現在230円だという市バスの均一区間運賃は約250円となる模様で、一見さんの観光客はともかく、日常的に利用するには少々割高な印象もあるラインにまで達しつつある状況である。

そんななかでも、将来に渡って京都市バスを維持し続けるためには、利用を敬遠しがちだという地元民に少しでも乗ってもらうことが、必要不可欠といったところだが、そんな利用者と接する運転手のマナーや態度が相変わらずとなれば、その望みも薄いといったところだろうか。

Next: 「綺麗事をいって最後に困るのは京都市民」

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