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県立千葉高、校内での盗難事件“口止め”疑惑で大炎上。学校現場に蔓延る隠蔽体質もSNSの拡散力の前にはもはや形無しという事実

千葉県内では有数の進学校である千葉県立千葉高等学校で発生した、生徒による現金盗難の一部始終が映された動画がSNS上で拡散。学校側が動画を撮影した生徒に対して「動画をすぐに消せ」などの口止めを図ったという話が広まり、大きな騒動となっている。

ツイッター上の当該投稿よれば、校内で現金盗難事件が起こったものの、学校側は対策を取らなかったことに業を煮やしたある生徒が、無人の教室にスマホを設置したところ、犯行の模様の撮影に成功したとのこと。

ところが、その動画を学校へ提出したものの窃盗犯には一切処分が下されず、被害者への説明もなかったどころか、撮影者に対しては「動画をすぐに消せ」「警察には絶対に言うな」と隠蔽を図るような発言もあったということで、撮影者の学生がインフルエンサーに依頼し、その動画を拡散させて事実を広く知らしめようとしたというのが、事のあらましのようだ。

学校側は口止めを「加害者の人権への配慮」と弁明

毎年、東大をはじめとした難関国公立や早慶上理などの難関私大に、卒業生が多く進学するという県立千葉高校。その生徒による、今回の動画拡散による大騒動というわけだが、いっぽうでこのところは“寿司テロ”呼ばれる飲食店への迷惑行為動画の拡散が、大きな問題になっているのはご存知の通り。

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いわゆる“寿司テロ”が、さながらチキンレースあるいは自爆的といった性格を帯び、身バレもものとせずなぜそのような行為に及ぶのか、常人には理解にかなり苦しむ反面で、今回の県立千葉高校の生徒は“寿司テロ”犯と年代はほぼ同じにも関わらず、その行動の意図がとても分かりやすく、なおかつ流出元の生徒としてはほぼ理想通りの展開となっているだろうということで、流石に地頭の違いは歴然といった印象も受けるところだ。

いっぽう今回の動画の拡散によって、否が応でも表立った対応をせざる得なくなったのは学校側。

この騒動を受けて、県立千葉高校は自身のサイト上にて「本校に関するネット上の情報について」という文章を公開したのだが、そこには「本校において、生徒による現金の盗難事故があったことは事実でありますが、一部事実と異なる情報がありました」と、盗難が実際にあったことを認める一文が。

しかし、その文中では盗難事件ではなく盗難事故と、あくまでも故意ではないという意味合いの“事故”というワードをなぜか使っており、これに対してSNS上では「事件を事故と言ってしまうあたり、学校の体質が知れますね」と、新たな批判を呼ぶ格好となっている。

さらに学校側は、各メディアからの個別の取材にも対応しているようなのだが、そのなかで、「動画をすぐに消せ」「警察には絶対に言うな」という教員からの口止め発言があったのではという話に対し、学校側は「生徒個人の端末に仮に拡散すると大変なことになる動画を保管しておくのは適切ではない」と、昨今の“寿司テロ”騒動を多分に意識しているような回答をしていた模様。

さらに学校側は「加害者の人権への配慮もある」とも答えたようで、これは旭川14歳少女いじめ凍死事件で、教頭が被害者の母親に言い放った「加害者にも未来がある」を彷彿とさせる、まさに“いじめ隠蔽”の学校と全く同じ反応。それだけにSNS上では「県立千葉高校はイジメが起きても揉み消すんだろうな」「本当に大切なのは自らの保身なんだろう」などと、さらなる批判が沸き上がっているといった状況だ。

動画拡散で入試倍率にも影響か

今回の件に限らず、いじめ事件などの度に取沙汰される学校の隠蔽体質。いじめが発覚すると、その学校の校長や教師の査定が下がるから、あるいは私立校だと志願者減に繋がるから……などの理由で、そういった不祥事を学校側は隠したがるというのがいわば定説なのだが、今回の県立千葉高校のケースでいえば、今まさに同県公立高校受験における志願変更期間が始まる直前のタイミングだったということ。

学校側としては、入試の志願倍率の増減にも影響しかねない今のタイミングで、不祥事が露見することは絶対に避けたかったに違いないだろうが、逆に考えればこのデリケートなタイミングで拡散させることを、流出元である生徒は狙っていた可能性も大いにありそうだ。

このように、校内で起きた不祥事に対してとかく動きが悪く、場合によっては何もしないといったことも多々ある学校側を、動画一本の拡散で大いに慌てさせて動かしたという、一種痛快な話としても受け止められている感もある今回の件。だが、今回の件が“成功譚”として広く受け止められることになれば、今後例えばいじめに遭った際に、学校はおろか警察もすっ飛ばし、いじめを受けている動画の拡散で一気に解決を図ろうとする動きが続出する可能性も、無きにしも非ずといったところ。

実際2022年には、熊本の秀岳館高校サッカー部内における体罰行為が、SNS上で大拡散されるという騒動があったことも記憶に新しく、そういったムーブの兆候は確実に芽生えている。学校側としても、これまでの“隠蔽”といった方法論がもはや全く通用せず、さらにひとたび騒動となればコントロールは不可能だという現実を目の当たりにし、戦々恐々といったところだろうか。

Next: 「単にインターネットの拡散力への理解が無かったか」

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