愛知県長久手市の「ジブリパーク」園内において、性犯罪を想起させる「不適切写真」を撮影し、その画像を投稿することが横行していることが、大きな波紋を呼んでいるようだ。
ジブリパークでの不適切な写真撮影について沢山のタレコミを頂きました!
どうやらジブリパークでは自分がキャラクターに性犯罪している様子を撮影してSNSにアップするのが流行ってるみたいです。 pic.twitter.com/8KipSnZGBp— インフルエンサー紹介BOT (@modelkidori) February 23, 2023
報道によれば、園内ではジブリ作品に登場する映画のキャラクター像と写真を撮ることができるのだが、一部の来場者が女性キャラクターの胸をつかんだり、スカートの中を盗撮する、果ては幼女誘拐のようなポーズで写真を撮ったりしているという。
この件に関して記者会見で問われた愛知県の大村秀章知事は「極めて遺憾だ。県の公園内なので、毅然と対応していく」と発言。
また「回転ずしの迷惑行為と一緒で極めて悪質。器物損壊に近いのではないか。(撮影者が)特定されたら、厳しい措置をとらざるを得ない」と述べ、法的措置も視野に入れて対応することを示唆したという。
開業後は周辺の飲食店にも経済効果が
“テーマパーク不毛の地”と長らく言われていた愛知に、県が総事業費約340億円をかけて整備し、昨年11月にオープンしたジブリパーク。
愛知県による負担は、周辺道路の整備費用なども合わせれば、実に500億円近くに迫るといわれているようだが、園内は1日の入場者数が制限されていることもあって、そのチケットは入手困難と言われているほどの人気ぶり。さらに、周辺の飲食店などにも経済効果が出ているとの話もあるなど、まずは好調な滑り出しとなっているという。
現在3エリアが開業中のジブリパークだが、来る2023年度内には残りの「もののけの里」と「魔女の谷」の2エリアもオープン予定。インバウンドも復活しつつあるなかで、今後は近隣からの来客だけでなく、県外あるいは海外からの宿泊を伴う客も呼び寄せることで、さらなる経済効果を期待しているところのようである。
そんな最中に発生した今回の問題だが、日本人の目から見てもこれらの画像の変態性に閉口するばかりなのだが、とくに海外においては、小児性愛者の類が社会から白眼視されているというのは、言わずと知れたところ。
それだけに愛知県側からすれば、そういった客を野放しにしては大いにイメージが毀損されるということで、法的措置も視野に入れた対応を示唆するといった、毅然とした対応となったものとみられる。
ジブリ側の“事なかれ主義”に批判殺到
このように怒り心頭といった愛知県側なのだが、それと同様に“被害者”とされる同施設の運営会社、中日新聞社とスタジオジブリの共同出資で設立された株式会社ジブリパークのほうはというと、メディアの取材に対し「今回の案件についてコメントは控えさせていただく」との反応。その激しい“温度差”も、ここに来て大いに話題となっている。
大村知事によれば、ジブリ側は都内にある「三鷹の森ジブリ美術館」でも同じような事案があった際に、注意をしたところ激高されたため、その後は相手にしない対応のようだ……と語っているのだが、それがもし本当だとすれば、まさに迷惑行為者を付け上がらせるだけ悪手ではないかと、SNS上では批判の声が多くあがっているようだ。
このように愛知県側とは真逆といった、ジブリパーク社側の“謎の沈黙”。単なる“事なかれ主義”以外の、何らかの事情があるのではと、SNS上では様々な理由が取沙汰されているようなのだが、その真相はいまだ謎のまま。とはいえ、それによって対応がブレるような事態になれば、今後また同様の行為が繰り返されることも考えられなくもない。
現に、大村知事は今回の件を“寿司テロ”と一緒だと断じたが、そちらのケースでも企業側が毅然とした態度を取ると表明した後も、各地が模倣犯が相次ぐなど抑止がほとんど効かなかったことも記憶に新しい。
また、そんな“寿司テロ”に関してだが、今月8日にはついに逮捕者が出るに至った。捕まえたのは奇しくも愛知県警で、罪状は威力業務妨害容疑だったようだが、今回のジブリパークの件が同様の罪に問えるのかといえば、かなり微妙では……といった見方も。
子どもらも多く来場する施設だけに、そういった層が安心して過ごせるテーマパークを早く取り戻してほしいといったところだが、このような状況をみる限りでは、そう簡単にはいかなそうである。
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