「シリコンバレー銀行」や「シグネチャー銀行」の破綻の余波でビットコインを中心とした暗号通貨も大幅に下落すると思われたが、そうはならなかった。逆に大幅に上昇している。この理由を探る。(『 ヤスの第四次産業革命とブロックチェーン ヤスの第四次産業革命とブロックチェーン 』高島康司)
※本記事は『ヤスの第四次産業革命とブロックチェーン』2023年3月21日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
上昇しているビットコイン
ビットコインが急速に上昇している。3月20日の時点で368万円程度で取引されている。これは5日前に比べ13.81%の上昇である。一方「ナスダック」は5.33%、そして「ダウ」は0.13%の上昇に止まっている。これまで強く連動していたビットコインと株との連動性が解け、一方的にビットコインは上昇している状況だ。
先週、「シリコンバレー銀行」と「シグネチャー銀行」の破綻がきっかけっとなり、アメリカの商業銀行の破綻懸念が高まった。インフレの抑制を目的にした「米FRB」の連続的な利上げがIT分野を中心としたスタートアップ企業の資金繰りを悪化させ、銀行預金の引き出しが相次いだ。これが「シリコンバレー銀行」のような中小の商業銀行の資金繰りを悪化させ、債務超過に陥るリスクを高めた。
また、これらの銀行が資金の運用を米国の長期国債で行っていたことも危機を高める背景となった。「FRB」による金利の引き上げに伴い米国債の市場価格が下落したため、これらの銀行は多くの含み損を抱えた。これが銀行の債務超過懸念を悪化させたのである。
「シリコンバレー銀行」も「シグネチャー銀行」も主な融資先はIT系のスタートアップ企業だった。特に「シグネチャー銀行」は取引所も含め、多くのブロックチェーン関連の企業がクライアントだった。米政府の預金救済によって両行に口座を持つ企業の破綻は免れたものの、銀行の破綻がいずれはブロックチェーン系企業にも波及する可能性があると見られたので、先週はビットコインが大きく下落するのではないかという懸念が大きくなっていた。そのように予測する専門家も多かった。
しかし、 当メルマガ 当メルマガ の先週号で紹介した「ツイッター」と「テレグラム」のビットコインに対するセンチメントは決して悪くはなかった。むしろ多くの投資家がビットコインの上昇に期待していることを表す数値であった。
事実、ビットコイン下落の予測に反して先週から今週にかけてビットコインは上昇した。SNSのセンチメントが予測する通りの展開になった。
取引所の流入と流出の割合
今週だが、やはりビットコインの上昇を反映して、世界の取引所における流入(買い)と流出(売り)のバランスを示すデータでも、流入(買い)が圧倒的に増えているのが分かる。以下である。
先週:
・流入割合 59.16%
・流出割合 39.43%
・予想価格 2万2,381ドル~2万2,448ドル(約299万円~300万円)
今週:
・流入割合 72.72%
・流出割合 25.70%
・予想価格 2万6,744ドル~2万8,605ドル(約353万円~377万円)
これを見ると、流入(買い)が大きく伸びており、今後のさらなる上昇が期待できる数値だ。予想価格は現在の実勢価格の水準だが、377万円まではすぐに上がりそうだ。