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難民鎖国に世界がドン引き。日本独特「避難民」という言葉で難民認定を回避…問題だらけの入管難民法改正案を国会に再提出へ=原彰宏

さらに認定が減る?「難民認定申請の回数を原則2回に制限」

この状況を踏まえて、もう1つの改正点「難民認定申請の回数を原則2回に制限」を、どう考えたら良いのでしょうか。

難民申請の厳格化……世界ではそう受け取られています。これは、大きな反発が上がっている難民申請中の送還を可能にする規定と言わざるを得ません。

入管は申請の濫用を防ぐためとしていますが、申請中の人を迫害のおそれがある本国に送還するのは難民条約違反だと国連も指摘しています。犯罪歴を理由に難民かどうかの審査を行わず送還することにも批判が強まっています。

さらに祖国に戻れば命が危ういという人が少なくないだけに、罰則を強化しても送還を拒む人はなくならないのではないでしょうか。

入管庁は、退去強制の対象者は犯罪歴のある人が多いと主張しています。しかし、刑事事件を起こしたことが理由で在留資格を失った人は全体のわずか3%にすぎず、専門家は偏見を助長すると異議を唱えています。

出典:入管法改正 十分な審議を NHK解説委員室(2023年3月14日配信)

「難民鎖国」と呼ばれる日本…。

NHK「入管法解説」記事にはこうあります。

入管庁は、在留資格のないいわゆるオーバーステイなどを理由に退去を命じられた外国人を速やかに送還するため法改正をめざしてきました。しかしおととし改正案が提出された後、名古屋入管で収容中のスリランカ人女性、ウィシュマ・サンダマリさんが医療体制の不備により死亡したのを機に、入管への批判が強まり国会での法案採決が見送られ、去年は再提出に至りませんでした。こうした経緯を経て再び改正案が提出されたわけですが、その内容は大筋で変わらずこの数年間で浮き彫りになった様々な問題点が解消されているようには思えません。

出典:同上

また琉球新報社説では、このような意見が書かれています。

難民申請中は強制送還が停止されるため、収容者が申請を繰り返し、収容が長期化するというのが政府の主張だ。しかし、複数回の申請で認定される事例、人道的配慮によって在留を許可される事例がある。回数制限は送還すべきでない人を送還する危険がある。難民認定の質を向上させる方が先ではないか。

出典:<社説>入管法改正案再提出 反省なき改悪でしかない – 琉球新報デジタル|沖縄のニュース速報・情報サイト(2023年3月16日配信)

「15年、20年、30年もの間、難民申請を続けている人々の権利を認める法であってほしい」東京新聞の記事では、このようにトルコ国籍のクルド人男性の声を載せています。

出入国在留管理庁はホームページでは、法改正の必要性として、退去を拒む外国人の増加、収容の長期化、仮放免者の逃亡の増加などを挙げています。

政府側に立って表現すると、改正の考え方として“保護すべき者を確実に保護する”上で、“在留が認められない外国人は速やかに退去させる”とし、退去までの間も、“不必要な収容はせず、収容する場合には適正な処遇を実施する”もの……となるようです。

う〜ん、申請回数制限においても「申請の乱用があるとみているため(法務省)」としています。

本当にこれで良いのですか。これで国際国の一員として、日本は認められるのでしょうか。なにより、本当に世界に対して、恥ずかしくはないのでしょうか…。

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