fbpx

島根「一畑百貨店」が閉店で山形・徳島に続く“デパート無し県」に。現在13県が“ラス1”の状況でさらなる増加は不可避か

島根県内の唯一のデパートである松江市の「一畑百貨店」が、業績の悪化を理由に来年1月で閉店することとなったと報じられている。

昭和33年に開店し、長きに渡り地域住民に愛されてきた一畑百貨店。ピーク時の売上は100億円を超えていたとのことだが、近年は大型ショッピングモールの出店や新型コロナの影響などで、年々売り上げが減少。ことし3月期には売上43億円にまで落ち込み、最終赤字に陥っていたという。

同百貨店では業績を回復させるべく、新たなテナントの誘致や経費の削減などを模索していたというが、それも不調に終わり、もはや経営の改善は見込めないとの判断で、閉店を決めたということだ。

デパートの市場規模はピーク時の半分に

ピーク時の1991年には全国で9兆7130億円という売上高を誇っていたものの、直近の2022年は4兆9,812億円と、その市場規模が約30年でほぼ半減した日本のデパート。

また、日本百貨店協会に加盟するデパートの店舗数も、1999年には311もあったのが、今年4月の時点での数は181と、ここ20年ちょっとで約4割ほど減っているという状況のようだ。

デパートの閉店といえばここ最近だと、北海道・帯広の「藤丸」が今年1月に120年余りの歴史に幕を下ろしたほか、2020年には山形市の「大沼」も経営破綻のために閉店するなど枚挙に暇がないところ。

さらに、元は百貨店だったものの近年は全館テナントのビルとして運営されていた旭川市の「マルカツデパート」が、2022年に施設の水漏れにくわえ電気代未納による電力供給停止により、事実上の営業終了に追い込まれるという“ドタバタ劇”があったことも記憶に新しい。

いっぽうでデパートの苦境は、地方の地場独立系だけでなく、例えば全国各地に店舗を有していた「そごう・西武」も、2020~21年にかけて5店舗を相次いで閉鎖したうえに、2022年12月には親会社のセブン&アイ・ホールディングスが、「そごう・西武」そのものをアメリカの投資ファンドに売却すると発表。

ヨドバシカメラが一部フロアに出店する西武池袋本店など、首都圏の一部店舗を除く地方の店舗に関しては、存続か否かを含めた今後が不透明のまま、宙ぶらりんにされている状況である。

【関連】そごう・西武売却、米ファンド「優先交渉権獲得」で百貨店はついに衰退へ。今後の展開と手放すセブン&アイの次の戦略は?=澤田聖陽

ちなみに2020年は先述した山形市の「大沼」にくわえ、さらに徳島市にあった「そごう徳島店」も閉店となり、これにより両県はいわゆる「デパート無し県」に。さらに、今回報じられた一畑百貨店の閉店により、今後島根県もその仲間入りをする流れのようだ。

“縮小移転”で存続を図る動きも

このように、昨今その苦境ぶりが度々伝えられるデパートなのだが、さらに日本全国には、県内にデパートがすでに1店舗しかないところも、現状で13県存在するようで、山形県・徳島県・島根県以外にも、今後「デパート無し県」がさらに増える可能性は大いにあり得そう。

いっぽうで、そんななかでも生き残りをかけた模索の動きもみられるところで、例えば「デパート無し県」にリーチを掛けている県のひとつである、山梨県の甲府市にある岡島は、自社ビルでの営業を終了し、いわゆる“縮小移転”のを選んだという。

1938年から甲府の繁華街のど真ん中で営業を続けてきた岡島だが、市街地の空洞化もあってバブル崩壊以降は業績が低迷し、2度の債務超過を経験。そのうえ、自社ビルだった店舗施設は老朽化が進行し、大規模改修の必要に迫られるという危機的な状況に陥った。

そこで岡島は今年2月、自社ビルの近くにある新しめの商業ビルの3フロアに、テナントとして移転することになったのだが、これにより売り場面積は以前の4分の1まで縮小。また従業員もそれに伴い、約4割削減することになったのだが、地域からデパートが無くなるといった最悪の事態は、当面のところ免れる格好となったようだ。

今回の一畑百貨店の閉店では、従業員118人が解雇となるほか、県内外合わせて約1,000社あったという取引先への影響も想定されるなど、地域経済に与える打撃は決して小さくはない。それだけに、今後はこの岡島のように姿や規模は大きく変えつつも、地域からデパートの灯は絶対に絶やさないといった動きをとるところも増えてきそうだ。

Next: 「県で唯一のデパートじゃ働いてた人達はどうなるか」

1 2
いま読まれてます

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

MONEY VOICEの最新情報をお届けします。

この記事が気に入ったらXでMONEY VOICEをフォロー