中古車販売大手の「ビッグモーター」が、保険金の過剰請求のために故意に車を傷つけていたという問題。以前から一部メディアで取沙汰されていたこの件だが、ついに国土交通省が同社にヒアリングを行う方針だと伝えられたことで、各社が大々的に報じる展開となっているようだ。
国交省によるヒアリングだが、ビッグモーターの外部の弁護士でつくる特別調査委員会がまとめた報告書を受けてのもの。その報告書には自動車の修理の際に「ヘッドライトのカバーを割る」「ドライバーで車体を引っ掻く」「ローソク、サンドペーパーなどで車体に傷をつける」「ゴルフボールを靴下に入れて振り回して車体を叩く」などの“手口”が紹介され、こうした不正な作業は2020年以前から継続して発生したとのこと。
また修理担当の従業員382人へのアンケート調査では、およそ3割が「不正な作業に関与した」と回答。そのうち、およそ6割が理由として「上司からの指示」を挙げたという。
この問題に関連して斉藤国土交通大臣は18日、「もし、そういうことがあったとしたら言語道断だ」と述べたうえで、「道路運送車両法に違反する疑いがないか今後ヒアリングを行い、その結果を踏まえ適切に対応する」と、会社側に聞き取りを行う方針を明らかにしたという。
一夜にして手のひら返しのメディアに呆れる声も
つい数か月前に、工賃の水増しや保険金の過剰請求のために、客の車のタイヤにわざと穴をあけていたという、元整備員による告発が大きな話題となったばかりのビッグモーター。
結局のところ、こういった保険金を不正請求するための故意に車を傷つけるといった行為は、いわば社を挙げて無数に行われていたことが、先述の報告書で判明した格好に。
「東京海上日動火災保険」「損害保険ジャパン」「三井住友海上火災保険」といった大手損害保険3社は、払いすぎた保険金の返還を求めているとのことだが、ここまで大々的に不正に手を染めていたとなると、その返還額がかなりのものになるものと想像されるところである。
いっぽうで今回の件に関してのビッグモーター側の対応だが、先述の“告発”などで疑惑が取沙汰されていた状況下でも、徹底して“だんまり”を決め込み、ほとぼりが冷めるのを待っていたフシが。
そんな悪手とも言えそうな方針の背景にあったとされるのが、ビッグモーターがテレビ・ラジオなどのメディアに対して行ってきた大量の広告出稿。これがある限り、主たるメディアが報じることがないものと高をくくったであろう通り、同社にスポンサーになってもらっているところ、あるいはそれを期待するメディアは、ほとんど同社の疑惑を取り上げず、その報道の広がりは限定的なものとなったのだ。
ところが、報告書にあったような酷すぎる内容が白日の下に晒されたこともさることながら、国交省がついに実態解明に乗り出す事態となったことで、メディアはまるで手のひらを返すように大々的な報道をしはじめるように。そんなメディアの対応に対し、SNS上からは白眼視するような反応も多くあがっているところだ。
ビッグモーター事件がマスコミ各社で一斉に報道されるようになったのは国交省の聴取がキッカケなのかな。古い記事で「報道されない」「報道されてる」というやりとりを見かけて変だなと思っていた。マスコミがCMを流してる企業の不祥事ってCMを信じた視聴者などへのマスコミ側の責任はないのだろうか? https://t.co/SNVkFGMcrU
— シンイチVR2 (@shinichikudoh) July 18, 2023
だんまり決め込んでたビッグモーターのネタをいきなり袋叩きにし始めたり、強力な芸能事務所のネタは早口でさっさと切り上げたり、マスゴミの気味悪さ全開の会じゃん。すげぇな大越。 #報道ステーション
— kita kita (@kitakit91357185) July 18, 2023
相当前から情報を流していたネットメディア
報告書の存在すら報じずCMを流し続け、国交省が動いた途端、企業とも足並みを揃えてw手のひら返しするTV
どちらが公器、国民に役立つか。
一目瞭然。
沈黙こそTV報道の肝。#ビッグモーター 保険金不正請求問題で報告書 https://t.co/VyHyGFxKJz— dokuguma (@dokuguma1982) July 18, 2023
佐藤隆太さんも“泥船脱出”も遅きに失した感
いっぽうでビッグモーターのCMといえば、このところ長らく俳優の佐藤隆太さんが出演し、いわゆる“広告塔”といった存在だったのだが、今回の騒動を受けて同社とのCM契約を解除する方向で調整しているとの報道が。
ひとえにタレントイメージへの悪影響を懸念してのもののようだが、ビッグモーターといえば今回の“保険の不正請求”のみならず、以前から様々な悪評が定期的に浮上することでも有名で、その度に「佐藤隆太はなぜこんな会社のCMに出続けるのか?」といった声も多かっただけに、このタイミングでのCM契約解除は正直遅きに失した感もするところである。
さらに同社のCMといえば、以前までは全国のラジオ局でバンバンと、しつこいほど流れていたことでもある意味で有名だったわけだが、同社の不正を巡る報道がされ始めたのと時を同じくして、ぱったりと耳にしなくなり、代わりに「ACジャパン」のCMだらけになっているとの報告も、各地からあがっているところ。
ビッグモーターのCM。α-STATIONだと今日朝のCM放映予定分からACジャパン素材へ差し替えているようだが、一部のラジオ局だとお達し来てないのか作業間に合わなかったのか知らんけどまだ流れてるっぽい?
— suken (@takakuratch) July 19, 2023
今日はいつも聞いているビッグモーターのラジオCM、自粛しているそうですね!
恐らくACジャパン、BPO、JARO、JFN、民放連のCMが多いようですね!— やりす×あくあ (@Cy5u7fJ8H4L4HDG) July 18, 2023
ビッグモーターが潰れると全国のFM局のCMがacだらけになって、打ち切られるともう広告収入にも大打撃になっちゃうことが心配
ビッグモーターそのものはどうでもいい
— あくあ堂 (@aquadoo76) July 18, 2023
テレビはさておき、ラジオはマジでビッグモーターだらけだからな…ステーションブレイクになろうもんなら必ず挿入されると言っても過言ではないくらい。 ビッグモーターはどうでもいいが、FM局にとってかなり打撃デカい気が。PORT閉局を目の当たりにしてるからそれが心配。
— Rest (@rest_r2) July 19, 2023
ラジオ局側の“自粛”なのか、ビッグモーター側がCMを引き上げたのか、その真相は不明なのだが、経営的に苦境に立たされているところも多いとされる各地のラジオ局にとっては、そんなビッグモーターによる“大量出稿”が救いになっていたであろう側面もあるだけに、それが無くなるとなると大きな打撃に……と心配する声も。前代未聞かつ大規模な今回の不正だけに、その影響は広範囲に渡るとも想像されるところなのだが、早くも思わぬところでその余波が出ているといった状況だ。
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