卓球少女としても知られた福原愛さんの元夫である江宏傑さんが開いた「福原さんに対し子ども連れ去りで訴える」とする緊急会見が、大きな波紋を呼んでいるようだ。
会見で江宏傑さんは、昨年福原愛さんが子どもを台湾から日本に連れ帰り、その後連絡を絶ったと主張。また今年7月20日に日本の裁判所が福原愛さんに対し、息子を江宏傑さんに引き渡すよう命ずる審判結果が出たものの、福原愛さんが子どもを台湾に帰らせることを拒否しているとし、現在は法的手段を用いて子どもを取り戻そうとしていると説明している。
いっぽうで福原愛さん側はこの会見を受け、「公衆の面前で国際記者会見を開くことは、高度な紛争を引き起こすだけでなく、意図的に両親と子どもの関係を引き裂き、子どもに悲しい思いをさせ、別離を引き起こすものであり、子どもに対する家庭内暴力の一種です」などと反論。
また福原愛さん側は会見前にも「福原愛さんと江宏傑さんの裁判は、現在、日本と台湾の新竹市の裁判所において家事事件が審理されています。いずれの国の事件も家事事件であり、誘拐等の刑事事件は全くありません。また、そのような刑事事件に当たる事実も全くありません」などと主張しており、両者の言い分は真っ向から対立しているようだ。
クローズアップされる“実子誘拐”の実態
2016年の結婚当初はおしどり夫婦といった声もあった福原愛さんと江宏傑さんだが、数年後には福原愛さんの不倫報道、さらに江宏傑さんのモラハラ疑惑が浮上する事態に。21年に両者は離婚となり、2人いた子どもの親権は当時住んでいた台湾の制度に基づいた共同親権という形となった。
ところがその後、江宏傑さんが主張するところによれば、福原愛さんは台湾から子ども一人を日本に連れ去ったということで、どうやらこの子どもに関する「単独親権」を得たいと考えているところのようなのだ。
海外の主要国では一般的な共同親権が制度的に導入されていない日本では、どちらか片方のみが親権を持つ単独親権が未だ維持されており、親権を持つ側は得られなかった親から養育費を得られるという“メリット”もあり、どちらが親権を獲得するかで揉めに揉めるというケースが非常に多いわけだが、その流れで相当多いというのが片方の親による子どもの連れ去り、あるいは“実子誘拐”とも表現される行為。
というのも、連れ去りでも誘拐でもその手段の是非はともかくとして、子どもを手元に置いておき監護したという実績さえ作れば、その後の親権争いが優位に立てる……といった事情が、日本の場合ではままあるというからだ。
そんな配偶者による子の連れ去りといえば、大いに話題になったのが将棋の元プロ棋士である橋本崇載氏の話。彼は自身の子どもが妻に連れ去られた事を機に、棋士を引退して子どもの連れ去りを防止する活動に身を投じたものの、昨年今年に渡って元妻を中傷する内容をSNSに投稿したとして、名誉毀損の疑いで2度逮捕されたのに続き、今年7月には元妻とその父を鍬のようなもので殴り、殺人未遂などの疑いで逮捕されるに至ったばかり。
このように、双方の親ともに子どもを想う気持ちが過熱するばかりに、様々な意味でも悲劇的な顛末となることも多いというのが、この子どもの連れ去りなのだ。
福原愛さん代理人の弁護方針にも批判が
日本においては親権争いを優位に進める手段として、この子どもの連れ去りを勧める弁護士までも一部で存在するとされるいっぽう、欧米などではたとえ自分の子どもだとしても、もう一方の親の同意なく子どもを連れ去る行為は許されておらず、誘拐罪が適用されるほどの重罪となるケースもあるとのこと。
要は、日本ではあくまで民事の範疇で物事が推移していく子どもの連れ去り案件なのだが、海外ではれっきとした刑事事件として扱われるということなのだが、そのことの違いが、今回の福原愛さんと江宏傑さんの主張が全くかみ合わず、泥沼化の様相を呈しつつあるひとつの要因と言えそうである。
とはいえ、先述の通り橋本崇載氏の件でも大いに取沙汰されるなど、最近は日本国内でも子ども連れ去りの問題がかなり浸透している感もあり、それゆえに今回の件も“連れ去っている”格好となっている福原愛さんの主張が無理筋なのでは……として、彼女に対して「本当に残念な人だ」「子どものことなんか何も考えてないのに」などの批判も多く、さらに彼女の代理人による弁護方針にも異論の声が多いといった様子だ。
福原愛、自分で不倫して離婚になって、自分が2人いる子のうち共同親権の台湾から長男だけ連れ去って、日本で都合よく単独親権ゲットしようとしてこうなってるのに何が「公での討論はやめて」なんだろう。子供のことなんか何も考えてないのに他人の良識は利用するのか。
https://t.co/467OIt39Sy— やまもとやま(美少女) (@mt_yamamoto_) July 28, 2023
子どもの連れ去りは重大な犯罪です。共同親権がない日本では、世界からセンスのズレた議論が延々と行われていますが、夫婦間の問題を一方的な都合で子どもに押し付けるのは、更成長過程の子どもの心に大きな傷を残すことを忘れてはならない。福原愛さんは、本当に残念な人だ。 https://t.co/XW9DNn36ln
— 伊藤隼也 (@itoshunya) July 28, 2023
福原愛さんが再び声明文で反論「子どもに対する家庭内暴力の一種です」元夫・江宏傑氏の国際記者会見を非難 – スポニチ Sponichi Annex 芸能 https://t.co/W7cf0tWHnb
いや、今里さんの主張は無理筋でしょ。
連れ去り勝ち・継続性の原理の日本の司法で別居親側に保全命令出るって中々ですよ⁇— 加藤貴史(KATO TAKASHI) (@conect_fusion) July 27, 2023
保全命令は緊急的なもの。一審とか関係ないから。福原愛側の弁護士はその辺のロジックをわかっていて、誤解させる主張を展開してる。
福原愛さん側反論【声明全文】東京家裁引き渡し命令は「未確定」 元夫・江氏を批判「子供守る配慮欠く」「大人な態度で向き合って」https://t.co/TmNXPGJoRN
— 西牟田靖「誰も国境を知らない 令和版」発売中 (@nishimuta62) July 27, 2023
ただ、実際のところ江宏傑さんが望むような展開になるかどうかというと、これも不透明といったところのよう。というのも、国際的な子どもの連れ去り事案などを解決する仕組みとして存在する「ハーグ条約」に台湾が加盟しておらず、加盟国同士ならば裁判所に申し立てれば、迅速に判断されて原則的に返還となるところが、それが今回は難しい判断となるだろうといったことからだ。
日本でも共同親権に関しては、今年4月に開かれた法相の諮問機関である法制審議会の部会において、その導入に向けた議論を始めることで合意し、ようやく制度設計の話し合いに入ったところだが、今回の福原愛さんと江宏傑さんとの話の顛末も、その議論に一定の影響を与える可能性がありそうである。
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