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サンマ、今年もまた高嶺の花に?不漁の一因“中国の乱獲”が処理水放出で歯止め…との淡い期待も「普通に来て産地偽装して売るだろう」との見方が大勢

札幌の中央卸売市場で、初水揚げされたサンマ120キロが初競りにかけられ、高いもので去年のおよそ4倍となる1キロ23万円と高値で競り落とされたと報じられている。

1匹あたりに換算するとおよそ2万8,000円になるというこのサンマは、札幌市の水産会社が競り落とし、その後札幌市手稲区のスーパーに1匹5,378円で並んだとのこと。

スーパーの客からは「高いですね。1桁高いですね」「庶民の口には入らない」などの声があがっていたようだ。

サンマの来遊量は去年同様、低い水準に

この数年、不漁が続いているサンマだが、水産庁の予測によれば、今年12月までのサンマの来遊量は、水揚げが過去最低だった去年同様、低い水準になる見通しだということ。今年も不漁で“高嶺の花”となることは間違いなさそうな情勢のようだ。

このサンマの不漁に関しては、地球温暖化を背景にサンマの漁場だった北海道沖や三陸沖の水温が上昇するなど、海洋環境に変化があったため、サンマがより沖合へと逃げていき、日本近海まで回遊してこなくなったというのが定説。

その水温上昇に関しては、つい先日公表された分析によれば、日本列島の南岸を流れる黒潮の流れが大きく影響しているよう。というのも以前までの黒潮は、銚子沖で東へ向かう黒潮続流となって、列島からは離れていたのが、2019年頃からその流れが三陸沖へと北上するようになったとのこと。

特に今年は、その流れが宮古沖付近まで達する特異な状況となっており、水温が平年より5度も高い海域もあるとのこと。この流れがサンマの行く手を阻み、漁場の沖合化が進む原因となっているというのだ。

いっぽうで、そんな昨今の異常な気候ということで言えば、今夏は各地でゲリラ豪雨の発生が取沙汰されるいっぽうで、日本一の米どころである新潟では、このところほとんど雨が降っておらず、県内にある農業用と土木用、合わせて3つのダムの貯水率が0%となるなど、深刻な水不足だということ。

そのため、一部の田んぼはすっかり干上がってしまい、枯れて倒れてしまった稲も多数出ているといい、また例年なら十分な水が必要なこの時季にこの状態ということで、作柄への影響も懸念されるという。

ちょっと前までなら、庶民にとっての秋のささやかな楽しみといえば、サンマの塩焼きに炊きたての新米というのが、定番中の定番といったところだったのだが、今年に関してはそのどっちも危ういといった、なんとも悲しい状況のようなのだ。

処理水放出で中国のサンマ乱獲に歯止め?

いっぽうで話をサンマの不漁に戻すと、その大きな原因として海水温の上昇とともに取沙汰されているのが、中国や台湾の大型漁船による乱獲。

つい先日の20日には、自民党の小野寺五典元防衛相がテレビ番組で、福島第一原発の処理水を海に放出することに中国が反発していることに対し、「危険だ、危険だと言っているが、中国や台湾の漁船は大挙してサンマを獲りに来ている」「言っていることと、やっていることが全く違う」と批判したことが、ちょっとした話題となったばかりである。

そんな処理水の件だが、22日になって政府は、今月24日に海洋放出を始めることを正式に決定。それに対し中国からはさらなる猛反発の声があがっているわけだが、その敏感な反応からすれば、日本近海にサンマを獲りに来ることも止めてしまうのでは……とも考えられなくもない。

ただ、SNS上であがっている見方によれば「処理水放出しても中国漁船は東北の沖合で秋刀魚乱獲するんだろ?」「たぶん普通に来て乱獲しまくって平然と産地偽装して売るよな」など、中国は変わらずサンマを獲りに来るだろうといった声がほとんど。

賛否両論が飛び交っている処理水の放出だが、それであわよくば日本の庶民が大いに嘆くサンマ不漁の一因が解消されるかもしれない……そんな淡い期待も、十中八九“ぬか喜び”に終わるだろうというのが、多くの人々の冷静な見立てのようである。

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