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金価格高騰、1グラム1万円は買いか?日銀が3つの手法を駆使して相場を動かしてくる=斎藤満

海外金相場はまだ上がりにくい

今後の相場環境を見てみましょう。

金は絶対通貨の側面があり、ペーパー・マネーであるドルの裏返しの面があります。中東ではドル以上に金が「通貨」として高く評価されています。国が危機に直面した場合、ドルを持っていても海外脱出の船に乗せてもらえない可能性がある一方で、金があればどこまでも船に乗せてもらえると言います。

このため、ドルが不安な時に金が買われやすく、ドルが強いときには金需要は落ちます。そして金利が高いときには金利のつかない金よりも高金利の米国債やドイツ国債が買われやすくなります。

ここしばらくは、金利高のドル高と、高金利の国債に需要が向かいやすい分、海外での金需要は盛り上がりません。しかし、インフレの蓄積で金の実質価格が下落している分、いずれ買いが入る余地はあります。

欧米金利がピーク・アウトする局面は債券の絶好の買い時なので、これから長期金利のピークを迎えるとすれば、国債買いが有利で、金はやや遅れを取ります。

ある程度金利が下がってくると、改めて金が輝きを取り戻します。

日本の環境は年内がピーク?

海外での金相場が当面大きく動かない可能性があるだけに、日本での金価格は多分に日銀いかんということになります。

日銀の金融政策が少なくとも今後、3つのルートから日本での金相場に影響します。

まず為替のルートです。日銀が大規模緩和を続けて円安が進めば、それだけ円ベースの金価格は上昇します。あまり速いスピードで円安が進むと為替介入で円安が修正されるリスクはありますが、日銀の緩和維持で緩やかに円安が進めば、日米関係や財務省と日銀の関係がよくないだけに為替介入は難しく、金価格にはプラスです。

しかし、日銀が緩和の修正姿勢を見せると、それが円高材料となり、金価格を下げることになります。7月に日銀がYCCの弾力化に出て以来、長期金利が上昇気味で、今週は10年国債利回りが0.7%台をつけました。今後YCCやマイナス金利の撤廃から、来年には政策金利の引き上げの可能性もあり、円高となる可能性が高まります。

2つめは金の競争相手となる金融商品に金利が付くようになると、リスクを回避したい投資家が、金利のつかない金から金利のつく国債や債券にシフトする可能性があり、金利が高くなればそれだけ金に不利となります。来年利上げで円高となるとダブルパンチとなります。

Next: 日銀の政策次第?ゴールド相場はどう動くか

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