fbpx

台湾有事を仕掛けるのは中国じゃなくて米国。焦るバイデンの命令で日本も防衛力増強中=高島康司

日本も「統合抑止戦略」で戦うことになる

「NDS」には次のようにある。

北朝鮮によるミサイルの脅威の増大と同様に、中国による挑戦は、インド太平洋地域における地域の協力的な航空・ミサイル防衛努力の重要性を高めている。これらの脅威に対抗するため、米国はこの地域全体の同盟国やパートナーとミサイル防衛協力を行っており、日本、オーストラリア、大韓民国(韓国)との協力が最も強い。

これらの国々との協力は、地域の集団的抑止と防衛努力を強化すると同時に、同盟の結束に不可欠な保証を提供するものである。

日本、オーストラリア、韓国は、米国との定期的な演習や訓練への参加だけでなく、防空・ミサイル防衛システムに対する持続的な投資を通じて、それぞれの防衛軍事能力を実践し、それを示している。

我々は、これらの同盟国やパートナーと緊密に協力し、警戒と追跡のための地上および宇宙ベースのセンサー・システムを追求するよう奨励し、高度化し多様化する空とミサイルの脅威に対処するため、極超音速防衛のような補完的な技術や能力の共同開発に投資する機会を探っていく。

このように述べ、アメリカが日本・韓国・オーストラリアなどの同盟国と強調して、中国に軍事的に対峙する姿勢を鮮明にしている。もちろん過去の「NDS」でも中国は意識されていたが、ここまで強く中国との対峙が強調されたことはなかった。

そして、台湾に関しては次のようにある。

AUKUS(米英豪の軍事同盟)やインド太平洋クワッド(日米豪印戦略対話)のようなパートナーシップによる先進技術協力を通じて優位性を育む。インドとの主要防衛パートナーシップを推進し、中国の侵略を抑止する能力を強化し、インド洋地域への自由で開かれたアクセスを確保する。

台湾防衛省は、発展する中国の脅威に見合った台湾の非対称的自衛を支援し、「一つの中国」政策に合致させる。私たちは韓国と協力し、同盟国の統合防衛を主導するため、韓国の防衛力を引き続き向上させる。

我々は、地域の安全保障問題への対処における東南アジア諸国連合の役割を促進することを含め、地域の安全保障上の課題に対する多国間アプローチを活性化させる。同省は、同盟国やパートナーと協力し、紛争が絶えない環境における戦力投射を確保する。また、東シナ海、台湾海峡、南シナ海、インドなど係争中の陸上国境に対する支配権を確立しようとする中国のキャンペーンから生じる、グレーゾーンにおける深刻な形態の強制に対処するため、米国の政策および国際法に従い、同盟国およびパートナーの努力を支援する。

同時に、同省は引き続き中国とのオープンなコミュニケーションラインを維持し、責任を持って競争を管理することを優先する。

そして日本の役割は次のようにある。

インド太平洋地域で国防総省は、自由で開かれた地域秩序を維持し、武力による紛争解決の試みを抑止するため、インド太平洋地域における弾力的な安全保障体制を強化・構築する。日本との同盟関係を近代化し、戦略的計画と優先順位をより統合的に調整することにより、統合能力を強化する。

要するにアメリカは、これまでにない規模で同盟国や友好国を結集して、拡大する中国を封じ込めるという戦略である。

これを「統合抑止」と呼ぶ。日本の防衛費の大幅な増額と南西諸島の自衛隊の展開は、アメリカのこの基本方針に応えた動きである。

Next: 習近平は攻め込まない?台湾有事はどこまで現実的なのか

1 2 3 4
いま読まれてます

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

MONEY VOICEの最新情報をお届けします。

この記事が気に入ったらXでMONEY VOICEをフォロー