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劇的円安放置国家ニッポンで上級国民以外は貧乏に。日銀が周回遅れの利上げに動けばさらに悲惨に=今市太郎

対ドルの実質実効レートはすでに固定時代の360円に到達

実質実効為替レートとは、名目実効為替レートにインフレ率(物価上昇率)を加えて計算した値です。実際の物価変動まで考慮しているため、通貨の真の力が反映されやすいといわれています。多くの市場関係者が注目するのも、この実質実効為替レートとなっています。

現在の対ドルでの日本円の実質実効レートはすでに固定レート時代の360円に達しているといいますから、日本人が貧乏になるのは当たり前の状況。海外旅行などもってのほかの事態に見舞われていることがわかります。

我々が国内にいて普通の生活を送っている分には、150円という対ドル価格は130円〜140円の延長線上にあり、さほど大きな問題には感じないものがあります。

しかし、この実質実効レートベースで見たドル円はすでに360円の固定相場時代に逆戻りしてしまっているのですから、変動相場制に移行してからのこの国の54年間はいったい何だったのかと思いたくなる状況が続きます。

もう多くの人が固定相場時代の日本のことを知らないと思いますが、当時は海外旅行に気軽に行けるような時代ではありませんでしたし、円を外貨に変えて日本から持ち出すのも10万円が上限という厳しい規制が敷かれていましたから、家族そろってハワイに行くのさえ夢のまた夢のような状態で、人気クイズ番組の商品は「ハワイ旅行」と決まっていたことが思い出されます。

米国では「ドルの強さは自国の強さの現れである」という言い方を閣僚が頻繁に使いますが、これがあながち間違っていないのは、21世紀のこの場に及んで、日本がようやく経済成長が定着しはじめた頃の60年代後半に引き戻されてしまっているという事実です。

もはや日本は海外バラマキなどできる身分ではない

ようやく新型コロナの影響を逃れ、意気揚々と海外に行くと、ホテル代から飲食代まで国内ではお目にかかれないような日本円換算の高額料金を請求されて愕然とするケースが頻発しているようです。

それも1ドル実質360円ともなれば当たり前の話で、もうよほどカネに余裕のある家庭でないかぎり海外旅行などはすっかり夢のまた夢といった存在になってしまったわけです。

しかも60年代後半と大きく異なるのは、当時はインフレが走ると確実に給与も上昇し、年間で5%から7%程度のベアのアップは上場企業なら当たり前のものでした。

しかし足元ではこれが完全に消滅しているわけですから、輸入インフレが襲ってくれば、多くの国民が耐乏生活に陥るのは当たり前の状況です。

岸田首相はいまだに先進国を気取って米国に言われるままにウクライナにカネを拠出したり新興国に過分の資金のバラまきをおこなっていますが、実は現実はこちらが恵んでいただかなくてはならない立場に転落していることをしっかり理解する必要があります。

Next: そして日銀が遅まきの緩和終了利上げなどに動くと悲劇はさらに進む

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