fbpx

所得減税でも支持率が下がる岸田政権の末期症状。「税収増分は使用済み」発覚で、減税の原資も国民が負担か=斎藤満

岸田政権は来年夏に実施される1人4万円の所得税減税を柱とする経済対策を閣議決定しました。減税分5兆円とその他も含めた財政規模は17兆円台前半となり、総事業規模は37.4兆円前後になるといいます。その「目玉」とする所得税減税に対して、国民の評価はいつになく厳しく、過半の人が「評価しない」としています。さらには鈴木俊一財務相は8日、岸田総理が「減税で還元する」と説明してきた過去の税収増分はすでに使用済みで、還元の原資がないことを認めたと報道されています。(『 マンさんの経済あらかると マンさんの経済あらかると 』斎藤満)

【関連】30年ぶり賃上げがもたらす最悪の格差社会。恩恵のない弱者と年金生活者は物価上昇で火の車=斎藤満

※有料メルマガ『マンさんの経済あらかると』2023年11月8日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:斎藤満(さいとうみつる)
1951年、東京生まれ。グローバル・エコノミスト。一橋大学卒業後、三和銀行に入行。資金為替部時代にニューヨークへ赴任、シニアエコノミストとしてワシントンの動き、とくにFRBの金融政策を探る。その後、三和銀行資金為替部チーフエコノミスト、三和証券調査部長、UFJつばさ証券投資調査部長・チーフエコノミスト、東海東京証券チーフエコノミストを経て2014年6月より独立して現職。為替や金利が動く裏で何が起こっているかを分析している。

減税ぐらいでは評価できない

岸田政権は来年夏に実施される1人4万円の所得税減税を柱とする経済対策を閣議決定しました。

減税分5兆円とその他も含めた財政規模は17兆円台前半となり、総事業規模は37.4兆円前後になるといいます。

その「目玉」とする所得税減税に対して、国民の評価はいつになく厳しく、過半の人が「評価しない」としています。

減税が評価されないというのは現政権にとってかなり深刻な状況です。

なぜ臨時の経済対策か

そもそも政府がなぜ今これだけの規模の経済政策を打ち出すのか、その動機が不明です。

今年度予算では対応できないような緊急事態が生じたわけでもありません。景気が急に落ち込んだのなら、需要追加策は必要で、その規模が十分かどうかの検討も意味を持ちます。しかし、政府の景気認識はずっと「緩やかな回復」が続いていて、緊急の景気対策を要する状況ではありません。

そうなると、財政規模の17兆円台とか、事業規模で37兆円台というのは無用の産物となります。対策の第1の柱に物価高から国民を守るとしているなら、これだけの需要を追加すればかえって物価高を煽ることになり、逆効果です。

しかも、その支出には財源が必要で、それをどう手当てするのか、国民に何も示していません。5兆円減税しても、5兆円を別の負担、例えば社会保険料負担増となれば意味がありません。

そもそも物価高は今急に生じたものではありません。今年度予算を議論する時点ですでに物価高は深刻で、現にガソリンや電気代などの激変緩和措置がとられました。

いま追加で物価高対応としての減税をするのは、政府の物価高対応が不十分だったか、巷間言われる選挙を意識した人気取りのためか、どちらにしても政府の姿勢が問われます。

Next: まさに財政の私物化。使い切った税収増分をどう国民に還元するのか?

1 2 3
いま読まれてます

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

MONEY VOICEの最新情報をお届けします。

この記事が気に入ったらXでMONEY VOICEをフォロー