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日高屋、なぜ業績が急回復?サイゼリヤと並ぶ前年比2割増の客数増加率となった当然の理由=山口伸

今期は以前を上回る勢い

上記の通り23年2月時点で業績回復は道半ばに見える。

だが今期24年2月期は、第1四半期時点で前年の約4割も売上が伸び、第3四半期時点でも30%の増収幅を維持している。通期の売上高予想も当初の440億円から470億円へと上方修正しており、コロナ禍前の19年2月期、20年2月期を上回る勢いだ。

とはいえ第3四半期時点の店舗数は412店舗と以前より規模が拡大したわけではないため、1店舗当たりの売上が伸びていることになる。

値上げの影響もあるが、客数の伸び率が著しいことが増収の主要因である。

2023年度における客数の前年比増加率を比較すると王将や幸楽苑などのラーメンチェーンが10%以下に収まるのに対し、日高屋は約2割である。他業態と比較しても吉野家、松屋などの牛丼チェーンも概ね10%未満だ。一方でコロナ禍では好調だったファストフードや回転寿司チェーンはむしろ前年比で下回る月もある。

このように業態問わず、外食チェーンの中でも日高屋の客数増加率は大きいことが分かる。ちなみに日高屋と同じく客数が前年比で2割ほど増えたチェーンとして「サイゼリヤ」があげられる。

物価高でも安さをキープしたことが要因

日高屋の集客力が特に高い理由は、やはり安さにあるだろう。

日高屋には700円以下で食べられるラーメンが多く、同じく関東に出店する餃子の王将も700円以下のラーメンを取り揃えているが、セット価格で比較すると日高屋に軍配が上がる。ラーメン、餃子3個、丼ぶり(小)の3点セットを1,000円以下で提供する店舗もある一方、他のラーメンチェーンで同様のメニューを頼もうとすると1,000円を超えてしまう。量を求める男性客にとって日高屋は魅力的だ。

また、麺類ではなく定食で比較すると日高屋のメニューは800円以下であり、900〜1,200円台の大戸屋、750〜1,100円台のやよい軒と比較しても安い。駅前に立った消費者がとにかく安く食べたいと思えば、日高屋が第一候補となるのではないだろうか。

ちょい飲み需要の回復も客数増につながっているとみられる。最近ではコロナ禍以前のように、男性客が一人で飲む様子もみられるようになった。ビールは340円、ハイボールは320円と日高屋の酒類は他の居酒屋やファミレスと比較しても圧倒的に安く、コロナ禍以前と同様に1,000円前後でちょい飲みができるのは日高屋しかない。

原材料費や燃料費の高騰で外食チェーン各社の値上げが相次いだが、日高屋は値上げをできるだけ抑えた。物価高でも安さを維持し、相対的な安さが際立ったことで今期は特に消費者に選ばれるようになったと考えられる。

Next: 「ハイデイ日高」株は買いか?首都圏600店舗の目標達成も遠くない

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