問題は米国内が中国によって歪められる危険性があること
トランプ大統領の大統領令は停止をされ、バイデン政権になって撤回をされましたが、TikTokはこのような懸念を払拭する説明をする必要があります。
バイデン政権は、そこまでTikTokを危険視はしていませんが、防御はしておくべきだと考え、2022年に連邦職員が政府支給のデバイスにTikTokを入れることを禁止する法律を執行しました。さらに39の州もこれに倣い、政府支給のデバイスでのTikTok使用を禁止しました。
最も積極的なモンタナ州では、年内にこの禁止令を連邦職員から市民にまで広げます。つまり、普通の市民もTikTokを使うことができなくなるのです。ただし、裁判所によって憲法が定める修正第1条=言論の自由に反する可能性を指摘され、実行は延期をされています。
しかし、すでにモンタナ州では異常なほどVPNが使われるようになっています。いつ禁止になっても、VPNを使って州外にいることに偽装してTikTokを使うためです。つまり、TikTokが問題にされているのは、個人情報が中国に渡る問題よりも、国内の言論が中国によって歪められる危険性に対するものの方が強いのです。
また、TikTokに好意的なリベラル派も、TikTokの有害情報を子どもたちが見て、危険な目に合っていることを問題視しています。有名なのはTikTokで流行したブラックアウトチャレンジで、これは自分の首を絞めて失神するところを撮影してアップするというものです。2021年から2022年にかけて、少なくとも15人以上のローティーンがこのチャレンジで死亡していると報道されています。
このような点が、2回の公聴会では追求をされました。2023年3月23日の公聴会は、5時間以上にも及ぶもので、複数回質問した人を含め述べ54人の議員が、1人5分の持ち時間で、チューCEOに質問をしていくというものです。途中、休憩は1回だけで、チューCEOも相当に疲労したのではないかと思います。
しかし、チューCEOにあぶら汗をかかせるような鋭い質問は見あたりません。議員というのはどこの国でも同じなのかもしれませんが、TikTokに何かを約束させるとか、新たな事実を引き出すという成果よりも、自分がいかにTikTokを攻めたてたかを、地元の有権者に印象付けることの方がはるかに重要なようです。そのため、姑息な攻撃をしている人が多いのです。
典型的なのは、説明をしなければ答えられない問いをして、「答えはイエスかノーか」と迫るものです。公聴会での虚偽の答弁は刑事責任を負うことになりますから、イエスと答えてもノーと答えても、厳密には誤りになるような質問をするというのは、基本的なテクニックになっているようです。
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『
知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード
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』(2024年4月15日号)より一部抜粋
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