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日清食品、小売店に安売り阻止の“圧力”で公取委から警告。「どおりで高いと…」消費者からは怒りの声が続出

日清食品が「カップヌードル」などの主力商品を巡って、小売店に販売価格を引き上げさせていたとして、公正取引委員会は独占禁止法に違反するおそれがあると、警告を出していたことが分かった。

報道によれば、日清食品はおととしと去年の2回、原材料価格の高騰に伴って希望小売価格を5%から13%値上した際に、全国のスーパーやドラッグストアなどの小売店に対して、本来小売店が自由に決めるものである販売価格を引き上げるよう求めていたということ。

日清食品は、ライバル店との競争への影響を懸念する小売店に対し、他店も値上げに同意しているなどと説明して価格を引き上げさせ、実際に値上げされているかを、営業担当者が店に出向いて価格の確認をしていたという。

日清側のこういった要求や行為は2015年から行われていたとのことで、ブランド価値の低下を避けるねらいがあったよう。しかしこれらは、小売店同士の価格競争や消費者が商品を安く購入する機会を奪い、独占禁止法で禁止されている「再販売価格の拘束」にあたるおそれがあるとして、今回の警告となった格好だ。

値上げに応じない業者を何度も訪問か

独占禁止法では、新聞・雑誌・音楽CDといった著作物を除いて、メーカーが正当な理由なく自社の製品を指定した価格で販売させることを原則禁止しているわけだが、そのことが実質上、守られていなかった疑いがあるという今回の件。

同じような出来事ということでいえば、2022年にはとんこつラーメンチェーンの「一蘭」が開発・販売したカップ麺などを巡り、小売店に対し価格を維持するように指示し、値下げをしないよう圧力をかけていたという話が取沙汰されたことが。

同商品は500円近くというカップ麺としてはかなり高価ながらも、発売当初は通販サイトや実店舗などで売り出せば即完売という人気商品だっただけに、どんどん入荷してほしい小売店に対し、一蘭側が強気な姿勢に出れたことが、そういった圧力に繋がったとみられている。

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それに対し今回の日清食品に関しては、先述のように営業担当者が小売店に直接出向いて価格チェックをしていたといい、そこでは具体的に値札の写真を撮影や、実際に購入してレシートを保管したりといった“執拗ぶり”が目につくところ。

さらには値上げに応じない業者を何度も訪問したりという、一種の脅迫まがいのことも行われていたなど、大企業ならではの一大営業網を駆使しての圧力に余念がなかったようである。

その甲斐があってか、日清の当該製品は日本全国のスーパー等の小売店の売り場において、大幅な値下げをされることなく販売されていた状況だったようなのだが、そんなある意味での“異常事態”は、消費者も敏感に察知していたようで、SNS上からは「カップヌードルがいつも高いなぁと思っていたんだけど、そういうことだったのか」といった声が、ここに来て噴出することに。

いっぽうで、日清食品に対して公正取引委員会から何らかの処分が下されるとの報道が出回ったこの数日間で、一部の小売店ではカップヌードル等の値段が急に値下がりしているとの話も出ており、日清側による圧力が明らかに存在したことを逆説的に証明する格好となっているようだ。

公取委からの警告も翌日の株価は続伸

食品メーカーのなかでも確固たる地位を確立している日清食品だが、ここ近年ではアンミカさんを起用したCMが大炎上を巻き起こしたり、さらには韓国製のカップ麺と明らかに酷似した商品を発売し物議を醸すなど、お騒がせがかなり多いといった印象。

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株価のほうも、今年初めのころは5000円付近を保っていたものの、直近では3000円台まで下落しているといった状況だったのだが、ただ公正取引委員会による警告という事態を受けての、翌23日の値動きはというと、逆に続伸するといった展開になっているようだ。

実際、今回の件に関しても、日清による“安売り阻止”の圧力に怒る声が多い反面で、メーカー側を苦しめる小売サイドの過度な安売りに疑問を呈する声にくわえ、またそのことがひいては商品の低品質化にも繋がるのでは……との見方もあるなど、日清側に同情的な声も少なからずあがっているところ。

メーカー側も社員らの生活を守るために必死だということなのだが、市場の反応も、そういった視点が反映したものといえそう。しかしながら、今回日清側が行った販売価格引き上げへの一連の動きが、法律やルールに則らない形だったのは事実だということで、業界のリーディングカンパニーとしても、今後の改善が求められるといったところのようだ。

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