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イーロン・マスクが進めるIRSとFRBの解体で何が起きるのか?トランプ政権の“1913年以前”回帰計画とは=高島康司

「DOGE」が進める省庁の閉鎖は、アメリカの国税庁にあたる「内国歳入庁(IRS)」と「連邦準備制度理事会(FRB)」に及んでいる。これらの機関の閉鎖は、1913年以前の状態にアメリカを戻すことが目的だ。(『 未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ 未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ 』高島康司)

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※本記事は有料メルマガ『未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ』2025年2月28日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

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急速に世界を作り変えていくトランプ政権

イーロン・マスクが率いる「政府効率化省(DOGE)」が計画している「内国歳入庁(IRS)」と「連邦準備制度理事会(FRB)」の廃止に向けた動きが意味するものについて解説したい。

トランプ政権の動きはとにかく早い。数年はかかる変化が、わずか数日で実現してしまうくらいのペースだ。それは内政と外交の両面で既存の秩序を全面的に変えてしまうほどの変化である。ウクライナ戦争の終結に向けてトランプ政権は、ウクライナを犠牲にしてロシアとの協力関係を模索している。

これが実現すると、民主主義と人権という価値観を共有したアメリカの同盟関係を基盤にする国際秩序ではなく、米中ロのスーパーパワーの勢力均衡に基づく新たな秩序の構築に向かうことになる。その過程では、ヨーロッパや日本のような同盟国は基本的に無視されるに違いない。

「内国歳入庁(IRS)」の廃止

改革のスピードは内政の分野ではもっと早い。連邦政府の大胆な縮小に向けた計画が一挙に進行している。改革される省庁のリストは前回の記事でも紹介したが、今週特に注目されていたのは、「内国歳入庁(IRS)」の廃止である。「内国歳入庁(IRS)」は日本の「国税庁」にあたる組織である。それを廃止するというのだ。

トランプ大統領は先月、関税による歳入を徴収する任務を負い、「IRS」に取って代わる可能性のある新たな「外税庁」の設立を発表した。トランプ大統領は、1913年以前の「黄金時代」の米国経済の復活を目指している。1913年以前、アメリカでは所得税も「FRB」のような中央銀行も存在しなかった。政府が必要とする歳入は関税に依存していた。この状況に、現代のアメリカを戻したいということだ。

これが具体的にどういう状況なのか、ハワード・ラトニック商務長官がテレビ番組の「ジェシー・ワッターズ・プライムタイム」で語っている。

「大統領が言ったように、相互関税は、相手国が関税を引き下げるか、我々が関税を引き上げるかのどちらかだ。もし我々が相手国と同じ水準になれば、他国と同等になるために年間7,000億ドルの利益が得られる。これで財政赤字は解消され、金利は急激に低下し、経済全体が爆発的に上昇する。

クルーズ船。船尾にアメリカ国旗を掲げたクルーズ船を見たことがあるだろうか。リベリアやパナマの国旗を掲げている。どの船も税金を払っていない。超大型タンカーも、税金を払っていない。アルコールも、外国産のアルコールも、すべて税金がかからない。ドナルド・トランプ政権下で、こうした状況は終わるだろう。

それらの税金が支払われると、米国民の税率は下がるだろう。それがドナルド・トランプが望んでいることだ。予算を均衡させ、税金を減らすことだ」

関税は輸入品に課せられる税金で、ほとんどの場合、米国に拠点を置く輸入業者が既存の連邦機関である「米国税関・国境警備局(CBP)」に支払う。つまり、トランプが主張する相互関税によって関税を高く引き上げると、関税収入が一気に増大する。すると、その分大幅な所得税の減税が実現できるというわけだ。所得税からの歳入は減るので、これを処理する「IRS」の規模は大幅に縮小が可能になる。規模を縮小させた「IRS」は、「外税庁」に改組される。

所得税の減税は国内消費を活性化するので、米経済の景気は必然的に上昇する。こうした大胆な改革だ。

Next: さらに過激な計画、「FRB」の廃止で世界はどう変わる?

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