昨今、一部のラーメン店において「具なしラーメン」なるものが人気を博しており、ブームの兆しが見られるとの報道が大きな反響を呼んでいるようだ。
都内のとあるラーメン店では、1180円の「柚子塩ラーメン」が人気メニューであるいっぽうで、具材が1つものっていない880円の「かけそば」が、このところの物価高の影響か注文が増えているということ。
来店客のひとりは「お店に行っても1000円とかで、入るのやめたりする。(具なしは)安いというのもあるし、すごくいいかなって思います」と話すなど、具なしラーメンの存在が歓迎されている様子。
この現象について某シンクタンクのエコノミストは「近年、原材料費や人件費の高騰で、具材を省き価格を抑えた具なしラーメンが注目。節約志向や健康志向の高まりなどもあり、具なしの商品の市場規模が拡大していく一因になるのでは」と語っているという。
「日本が貧しくなっただけ」との声が多数
具なしラーメンといえば、コンビニで販売されているカップ麺においては、低価格でお腹いっぱいになりたいといった顧客ニーズに応えるべく、ローソンが大盛りかつ具は乾燥ネギのみという商品を23年に発売。その後、約1年でシリーズ累計販売数640万個を突破する大ヒットとなったことが。
また、家庭で食べるインスタントの袋麺などは、具を調理するのも面倒なのでそのまま食べるのが専ら……といった声もあり、決して具なしラーメンの存在自体が物珍しいといったわけではないのだが、とはいえ外食先のラーメン店でも具なしが広まりつつあるという話は、多くの人々にある種の戸惑いをもって受け止められた模様である。
ここ近年は物価高騰による原材料費値上げや人手不足に起因する人件費の高騰などが影響し、ラーメンの価格はうなぎ上りといった状況。
以前は「1000円の壁」などと言われていたのが、今ではその壁を易々と超えるのが当たり前となるなかで、とはいえ1000円超の価格では入店を躊躇う向きも多いということで、そういう層を取り込むために誕生したといった、店側のいわば苦肉の策といった性格も帯びているとも言えそうな具なしラーメン。
しかしながら、それをあたかもブームだといった風に捉える今回の報道に関しては、「高くて手が出ないだけじゃねえか」「日本が貧しくなっただけの話」といった反発の声が多くあがっているところ。
日本は明らかに貧しくなった
何が救世主だよ
高くて手が出ないだけじゃねえか>ところが物価高の影響で比較的安い“具なしラーメン”の注文が増えている
「お店に行っても1000円とかで、入るのやめたりする。(具なしは)安いというのもあるし、すごくいいかなって思います」https://t.co/hrDfDMsvz8— 特攻野郎Q-TEAM®️@感染対策大明神 Re:Dive (@QBK_longride) March 6, 2025
日本が貧しくなっただけの話を、ブームと呼ぶかね。批判的精神ゼロかよ。 https://t.co/H8JgtLfMLN
— 芻狗 (@justastrawdog) March 6, 2025
過去には「クルマ離れ」や「恋愛離れ」さらには「風呂なし物件が人気」といったような、若者層の貧困から来る諸現象を、あたかも一種の流行として捉える報道に対して批判が殺到したことがあるが、今回もその一種だと見做されたようなのだ。
さらにネット上では、今後更なる貧困化が進めば「麺なしラーメン」が登場するのではといった見方、またその波はラーメン屋だけでなく、例えば牛丼屋では「具なし牛丼」が流行るのも時間の問題……といった嘆き交じりの声もあがるなど、大いに紛糾しているようなのだ。
具なしラーメンの次は麺なしラーメンかな。
— mold (@lautrea) March 7, 2025
これ要するにマーケットと利益率拡大のマーケティングだよね。デフレと二極化は止まらない。「具なし牛丼」もやってくるかな。もはやただの汁入り白米。でもまだラーメンよりは健康に良さそうだ。 https://t.co/VVymKtFidN
— CEOセオ@連続起業家兼アーティスト (@ceo_01music) March 6, 2025
具なしラーメンが密かに流行ってる(単に金がない)ってニュース悲惨だなぁ…
牛丼屋も具なし牛丼始めそうな予感…日本もついに途上国の仲間入りだ— たくみ⊿ (@takumi_0_3_0_5) March 6, 2025
インバウンド向けの豪華ラーメンも同時に流行中
いっぽうで、最近のラーメン業界での流行ということでいえば、今回の「具なしラーメン」とはまさに正反対のトレンドも、このところ注目されているとのこと。
ぐるなび総研が各年を代表する「食」を決定し表彰するイベント「今年の一皿」において、2024年のインバウンド賞に「プレミアムラーメン」が選ばれたのだ。
このプレミアムラーメンとは、スープや具材などにブランド地鶏や和牛、果ては伊勢エビやトリュフなどといった高級食材をふんだんに用いた、名の通りプレミアムな一杯ということで、その価格は“1000円の壁”などをゆうに飛び越し、一杯4000円台、5000円台のものはザラだという。
さしづめ昨年大いに取沙汰された「インバウン丼」のラーメン版といったところだが、そんな高級化も一方では進むなかで、その反面では簡素の極みといった「具なし」も出現しつつある状況ということで、これをラーメン文化の幅の広がりとみるか、あるいは世界と日本との貧富の広がりとみるかは、人それぞれといったところのようだ。
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