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ドル円はとにかく戻り売り継続。「英国ショック」はトリガーにすぎず=江守哲

英国民投票で何が起きたのか~ヘッジファンド投資戦略の「盲点」

英国のEU離脱が決定しました。直前の調査では、残留が予想されていましたので、この結果には驚かされました。驚いたのは、ヘッジファンドも同じです。

彼らの中には、業者に依頼して調査を行い、結果をあらかじめ予想してポジションを取っていたところもあります。その予想は、明らかに残留だったと思われます。

投票日までの動きを振り返ると、残留を前提とした値動きになっていました。つまり、ポンドやユーロが買い戻され、株式も上昇していました。楽観的な見方になっていたことは明白でした。

また、当日の日本時間の朝方までも、米国市場のクローズ後も買いが優勢になり、日経平均株価などは16500円を超えていました。まさに、残留決め打ちのポジションです。

しかし、当日になると、徐々に雲行きが怪しくなっていきました。英BBCがネットで逐一報道する投票結果に対して、一喜一憂する動きになりました。予想よりも離脱派が多いことに、当初は戸惑いも見られました。

しかし、この時点で「離脱になることはないだろう」と考えていた市場参加者の方が多かったはずです。実際、株価は高値を維持し、ドル円なども堅調でした。

打ち砕かれた「期待」とパニック

残念ながら、そのような期待は完全に打ち砕かれました。

BBCが伝える速報では、徐々に離脱派が多くなり、開票が進むにつれて、離脱の可能性が高まっていきました。そして、ある時点で堰を切ったように、一気に相場が動き出しました。

11時41分にドル円が103円を割り込むと、わずか4分間で99.08円まで崩落しました。あっという間の出来事でした。

この間、日経平均先物はやや先に動いていました。11時39分にはそれまでもみ合っていた15700円を割り込み、ドル円が安値をつけた11時45分には15010円まで下落しました。

その後、ドル円は戻しましたが、日経平均先物の下落は止まらず、14790円まで売られました。一時は値幅制限を超える売りが出たことから、「サーキットブレーカー」が発動し、一時的に取引ができない状態になりました。それほど、ものすごい売り注文が出たということです。

日経平均先物 15分足(SBI証券提供)

日経平均先物 15分足(SBI証券提供)

シカゴ市場では15000円台を回復していますが、それにしても大きな動きでした。市場センチメントは一気に悪化したことだけは確かです。

それにしても、ヘッジファンドは何をしていたのでしょうか?事前に調査をして、残留に賭けていたのでしょうか?おそらく、そうでしょう。イベントに賭けた「一発勝負」に出たわけです。しかし、見事に打ち砕かれました。

Next: なぜヘッジファンドは一発勝負に出たかの?失敗に学ぶ投資の教訓

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