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EU解体「第2幕」の始まり~ジョージ・ソロス&ストラトフォー最新分析=高島康司

なぜか日本では報道されていない領土紛争の再燃リスク

イギリスのEU離脱の余波はこれだけではない。なぜか日本ではほとんど報道されていないようだが、過去の領土紛争が再燃する気配まである。

EU離脱が決定した翌日の24日、スペイン政府はイギリス領となっている「ジブラルタル」の共同統治を要求した。これは、スペインが「ジブラルタル」を領有するための第一歩ではないかと見られている。

ちなみに「ジブラルタル」は、イベリア半島南東の端に突き出た半島だ。もとはスペインの領土だったが、スペインがイギリスとのスペイン継承戦争に負けた1713年、イギリスに占領された地域だ。

その後スペイン政府は幾度も領土返還の交渉をイギリスに申し出たが、拒否され続けた。2002年、拡大EUの設立に伴い、欧州の諸国は将来的に超国家連合へと発展的に解消するとの雰囲気が強くなったため、スペイン政府も領土の返還請求を無意味と判断し、要求を停止していた。

ところが、イギリスのEU離脱で結果的にイギリス連邦は解体し、イングランドの国力は大幅に低下する可能性が高くなっている。スペインにしてみると、いまこそ「ジブラルタル」の領有権を主張するチャンスであるはずだ。

スペインだけではない。この状況は、イギリスと領土問題や領土紛争を抱える国々が領土を奪還する絶好の機会になる。

第二次フォークランド紛争勃発も?

これは、1982年に領有権を巡ってアルゼンチンとの紛争にまで発展した「フォークランド諸島」も同様である。「フォークランド紛争」は突然と起こった激しい争いであった。一方的に領有権を主張して「フォークランド諸島」を軍事占領したアルゼンチンに対し、当時のイギリスのサッチャー政権はイギリス海軍を中心とした精鋭部隊を送り、戦闘となった。イギリスとアルゼンチンはそれぞれ256人と645人の死者を出し、イギリスの勝利で戦闘は終結した。

この勝利により、「フォークランド諸島」は現在もイギリス領だ。だが、先の「ジブラルタル」のように、イギリス連邦が解体に向かい、国力の低下がはっきりしてくると、アルゼンチンは再度「フォークランド諸島」の領有を主張することだろう。

現在、アルゼンチンと中国の軍事的な結び付きが強化されており、いまアルゼンチン軍が「フォークランド諸島」を占領するとイギリスは軍事的に対抗できないと見られている。このような軍事力を背景に、アルゼンチンは領有権を強く主張するとも思われる。将来紛争が再燃する可能性は十分にある。

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