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EU解体「第2幕」の始まり~ジョージ・ソロス&ストラトフォー最新分析=高島康司

解体に向かうイギリス連邦

EU離脱で、これからイギリス経済は長期間低迷することは間違いないと見られている。もちろん、ポンド安による輸出増大によるプラスの効果も予想できる。だがイギリス経済に占める製造業と農業や漁業などの割合は、サービス産業に比してかなり低い。このため、ポンド安によるプラス効果は比較的に限定的だと見る意見が多い。やはりポンドの急落によるマイナスの影響は予想以上に大きい。

一方、すでに主要メディアで報じられているように、今回のイギリスの離脱決定は大きな政治的な影響をもたらしている。イギリス連邦は、イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドの4つの国からなるが、EUに残留する目的で連邦を離脱する動きが拡大しているのだ。

24日、スコットランド行政府のスタージョン首相は、スコットランドはEU残留を望むので、イギリス連邦からの独立を問う国民投票を実施すると発表した。ちなみにスコットランドは、2014年9月に国民投票を実施し、否決されている。29日にスタージョン首相は、EU議会の首脳と会談し、EU残留と国民投票実施の意志を正式に伝えた。

さらにウェールズでも、イギリス連邦からの独立に向けた動きがにわかに始まっている。スコットランドと異なりウェールズでは、独立を望む声は多くはない。10%前後である。しかし独立派の議員たちはこれからウェールズで議論を深め、国民投票の実施に向けて準備したいとしている。

さらに、これと呼応して北アイルランドも、まずはアイルランドと統合した後イギリス連邦から離脱し、EUに加盟したいとしている。

このような動きがこれから加速すると、2017年から2020年までに現在のイギリス連邦は解体する可能性がある。独立したそれぞれの国は改めて連邦を形成することになるのかもしれない。

各国に飛び火するEU離脱運動の脅威

このような動きの一方で、EU各国に離脱に向けた国民投票の実施を要求する運動が急拡大している。運動の主要な担い手になっているのは、フランスの「国民戦線」などの極右、ならびに急進左派の党派だ。

ちなみに、先進的な西ヨーロッパの国々を中心に、EUに残留を求める意見は少数派だ。多くの国民がEUを否定的に見ている。以下は米大手世論調査会社の『PEWリサーチセンター』が発表した最近の結果だ。

(EUを支持しない割合)

  • ギリシャ:71%
  • フランス:61%
  • スペイン:49%
  • ドイツ:48%
  • スエーデン:44%
  • イタリア:39%
  • ハンガリー:37%
  • ポーランド:22%

これを見ると、ポーランドやハンガリーのように、最近EUに加盟し、ロシアに対する強い不信感のある旧ソビエトの衛星国ではEU支持が高いものの、その他の国では不支持はかなりの割合に上っていることが分かる。

もしこれらの国々でイギリスと同じような国民投票が実施されると、フランスやドイツのようなEUの中核国も含めて、EU離脱派が勝ってしまう公算が高い。

これからもこの動きは各地で拡大し、EUの存続を脅かす流れになることは間違いないだろう。

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