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北朝鮮の脅威に無策の僕たち~「シャバ僧」過ぎるぜ!ニッポン=施光恒

冷戦期に国民を守ったド・ゴール仏大統領とシュミット独首相

『月刊 日本』という雑誌の今月号(2017年5月号)に、元・衆議院議員の西村眞悟氏が「朝鮮危機を奇貨として、今こそ自主防衛体制を敷くべし」という一文を寄せています。

このなかで冷戦期にフランスのド・ゴール大統領が核保有を敢行した話に言及しています。

当時の米国大統領であったJ・F・ケネディは、ド・ゴールに核武装を思い留まらせようとして、米国は「核の傘」を広げてフランスを守ると言いました。

しかしそれに対して、ド・ゴールは次のように尋ねました。「米国は、ニューヨークやワシントンが核攻撃を受ける危険があっても本当にフランスを守ってくれるのか?」と。つまり、ソビエトがフランスを核攻撃するようなことがあれば、米国は、自国の大都市が攻撃を受ける危険を顧みず、ソビエトにただちに報復すると約束してくれるのかと問うたのです。

ド・ゴールの単刀直入な問いに、ケネディは絶句し、答えられなかったそうです。

西村氏も触れていますが、同じような事例として、1970年代の西ドイツのシュミット首相の決断もあります(シュミット首相のかつての決断には下記の記事も触れています)。
※参考:南シナ海情勢を見据え、今こそシュミット元独首相の知恵に学べ – 産経ニュース(2015年11月18日配信)

1977年の秋、ソビエトは中距離核弾道ミサイルSS20を西ドイツ(NATO)に向けて配備しました。西ドイツには届くが、米国は射程圏内に入らない中距離ミサイルを配備することによって、ソビエトは、米欧の分断を狙ったのです。

米国の核の傘は、本当に西欧諸国を守ってくれるのか」「SS20で欧州が攻撃された場合、米国は、戦争になる危険にもかかわらず、報復してくれるのか」。当然のこととして、このような疑念が西ドイツなど西欧諸国には生じます。ソビエトの狙いは、米欧の結束を揺さぶることでした。

これに対し、西ドイツのシュミット首相は、軍事的バランスの回復が必要だと語ります。そして、ソビエトのSS20に対抗するために、中距離核弾道ミサイル・パーシングIIを米国から導入し、実戦配備に踏み切りました。

シュミット首相は、ソビエトのSS20に対し、パーシングIIを導入し、「相互確証破壊」の体制を構築しました。すなわち、ソビエトが、西ドイツをはじめとする西欧諸国にSS20を打ち込むようなことがあれば、米国の決定に俟つことなく、自らの手で報復する姿勢を示したのです。(こういう体制を構築したあとで、ソビエトと交渉し、結局、SS20を撤収させました)。

私は、ド・ゴール大統領やシュミット首相のような態度こそ、責任ある政治家としての、いや大人としての態度だと思います。「自国民の生命を、相手国の不安定で不確実な意思にゆだねたりはせず、何が何でも守って見せる」という気概が必要なのです。

ド・ゴールやシュミットは、ソビエトが一発でも弾道ミサイルを撃ち込むようなことがあれば、即座に報復するという断固たる姿勢を表明し、自国民の生命を守る気概を示しました。

日本政府も、具体的方法はどうであれ、「日本国民の生命は何が何でも守る」「北朝鮮の不安定・不透明な意思に、国民の生命や生活を委ねたりはしない」という気概を持ち、それを内外に表明すべきです。

Next: 日本政府にも「何が何でも国民を守る!」という姿勢が必要

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