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ヘッジファンドはこれで儲ける!アービトラージ戦略の様々なアイデア=田渕直也

CBアーブ

CBとは、転換社債のことです。社債なのですが、一定の条件で、投資家がそれを株式に転換できる権利がついています。株価が下がったら債券として保有し、株価が上がったら株式に転換して値上がり益を得られる、というものですね。

理論的には、CBは社債と株のコールオプションを組み合わせたものです。ですから、社債と株のコールオプションの価値を合計したものがCBの価格になるはずです。ところが、実際にはそこから少し価格がずれることがあるんですね。もし、

転換社債の価格<社債の価値+株のコールオプションの価値

ならば、転換社債は割安ということになります。

※コールオプション
対象となる資産をあらかじめ決められた価格で買う権利のこと。権利なので、自分が有利になるときに権利を行使し、自分が不利になるときには何もしなければよい

ここで、社債やオプションのリスクは、デリバティブや空売りなどを使ってヘッジすることができます。割安な転換社債を買い、社債のリスクやオプションのリスクをヘッジすることができれば、割安に購入した分が利益となるわけです。

キャピタル・ストラクチャー・アーブ

企業は、普通株、優先株、劣後債、普通社債など複数の手段で資金を調達します。それぞれ経済的な条件が違うので、価格も当然異なるわけですが、同じ企業が発行するという点で、これらの商品の価格の間には密接な関係性が存在します。でも、この関係が崩れるときがあります。たとえば、普通株が割高で優先株が割安だと思えば、普通株を空売りし、優先株を買えばいいわけです。

リスク・アーブ

合併・買収などのイベントが起きると、一般には買収元企業の株が売られ、買収先企業の株が買われます。でも案件が流れてしまえば株価も元に戻ります。合併・買収は、法律や競合他社の動向など非常に複雑な要因で成否が決まるわけですが、その成否の確率を推定しながら、両社株の売買をしていくのが、リスク・アーブです。

このようにアービトラージは、一般に、金融工学の知識や、精緻なプライシングモデル、法律を含めた複雑な状況判断、そして瞬時に大量の取引を執行できる体制などが不可欠です。

ということで、その多くはヘッジファンドなどのプロ向けの手法で、一般投資家には難しい取引ということになるわけです。

Next: 個人投資家でも取り組むことが可能なアービトラージ的手法とは?

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