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FOMC通過で見えた投機筋のポジション~ビットコインとドル円、日本株の行方=E氏

投機筋の「お祭り騒ぎ」

まず、トランプショック以降の大雑把なおさらいをしておきます。事前に想定していなかった大統領の誕生で、当初はショートスクイズ主体だったマーケットは、やがてトランプが就任後に実行するであろう政策についても過剰な織り込みを始めました。

大型減税による企業収益増はもちろん、大規模経済対策によって、米国の成長率が劇的に上向き、それに伴いインフレ率が急上昇するという見方から、米国債利回りは急伸、ドルは急上昇、米国株も上昇という流れになったのが昨年末までの流れです。

しかし、昨年12月のFOMCでの先行きのインフレ見通しや、就任後の政策実行スピードが遅いといった現実に直面するにつれて、昨年末までのような過剰な成長を織り込んだ上での相場形成の修正が始まりました。

それが年初からのドル安基調であり、米国債利回りの緩やかな低下と、行き過ぎたリスクオンマーケットからの修正の結果ゴールドが強含む展開になったのです。

このうちのドル高とゴールド高に円が連動して相対的に上昇したことで、年初以降の日本株のパフォーマンスは先進国の中で相対的に劣位に置かれたのでした。

このリスクオフ的な流れを需給面でサポートしたのが、投機筋によるゴールド買い、円とユーロ、米国債のショートカバー等を年明けから続けた投機筋です。つまり、昨年11月以降のマーケットが過度なオーバーシュートになったのは、こういった投機筋がお祭り騒ぎのようにやり過ぎたからであり、その反動は自らの過剰ポジションを修正することで起きていたのです。

なぜ米国株は蚊帳の外?

この動きの中で蚊帳の外の動きをしたのが米国株です。

米国株もトランプショック以降急激に上昇しましたが、これは投機筋によるポジションの結果というよりは、トランプがあまりにも異質な大統領なので、もしかしたら選挙用のリップサービス的な政策を本当にしてくれるのではないかという期待感から、投資家層の裾野が広がったことと、投機筋による相場の柱となる代表的な特定銘柄への集中投資によって演出された側面が強いです。

年初以降の米国株は、下げても引け直前にかけてショートカバーのように下げを縮小させていることから、従来以上にETFによる買いが出ているのは事実ですので、401kなどの年金資金も出ているのでしょう。

ただこういった動きだけでは、就任後かなり経ってトランプの政策遂行能力に疑問が生じても、それどころか期間を全うすることなく弾劾でホワイトハウスを去るリスクが高まってきてもマーケットが失望に転じない理由づけにはなりません

つまり、就任後最初の議会演説を行った2末で、本来なら期待感の多くは出尽くしになって然るべきなのに、何が起きても調整せずに期待を維持し続けていたのです。

相場高を説明する要因がトランプによる政策期待しかないのに、政策遂行能力に疑問が生じ、あまりに不正が多く弾劾される可能性が高いのだったら、本来はトランプショック前の水準まで戻してもおかしくないし、実際、ドルインデックスや米国債利回りなどトランプショック以降のリスクオンで起きた変化は全てもとの木阿弥になっている以上、米国株もそうなっても不思議でないのに、以降もサポート材料なく相場が支えられていました。

この理由はずっと不明でしたが、特定銘柄の崩れをきっかけに、米国株のみが他資産との整合性なく強かった理由が徐々に明らかになってきました。

Next: 投機筋はFANG銘柄、そしてビットコインに集中投資していた?

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