fbpx

【カイジ】帝愛グループの紙幣「ペリカ」はなぜインフレにならないのか?=三橋貴明

年間1億800万ペリカ発行、普通ならインフレになるはず

とはいえ、よくよく計算してみると、不思議です。帝愛の地下施設に落とされた劣悪債務者は、少なくとも100人はいます。月に1度、1人あたり90000ペリカが支払われるとすると、1年間の帝愛のペリカ発行額は、90000x100x12で、何と1億800万ペリカ(日本円で1080万円)。ハンチョウたちが仕入れる物品には限りがあるため、放置しておくと、とんでもないインフレーションになりそうです。

というわけで、インフレを防ぐためには、まずはハンチョウたちが「需要を満たすに十分な物品を仕入れる」ことに加え(在庫管理が大変そうですが)、何らかの手段で高額のペリカを帝愛側が回収しなければなりません。

つまりは、売りオペレーション(日銀の国債売却)に近いシステムで、ペリカの価値を一定に保つ必要があります。

高額な「1日外出券」がペリカを支えていた

まさに、そのために用意されたのが「1日外出券」というエンターテイメント、あるいは「サービスの供給」なわけでございますね。1日外出券の販売価格は、1枚50万ペリカ

カイジたちには「高根の花」あるいは「阿漕なやり口」に思える1日外出券の高額販売は、実は帝愛の地下施設の「経済」を健全に保つために、必要不可欠なのです。1日外出券は「高くなければならない」のでございます。

1日外出券がなければ、ハンチョウもあそこまで懸命にペリカを貯めこむことはないでしょう。何しろ、2000万ペリカを貯めこんだところで、それを消費する先がないという話になってしますのです。

実際に福本氏がそこまで考慮し、上記のシステムを組み立てたのかどうかは分かりませんが、『賭博破戒録カイジ』を読み、改めて「おカネとは何なのか?」について考えさせられたというお話です。

【関連】永遠に続く格差の正体。死ぬ前に脱出するにはこの「うまい話」に気付け=鈴木傾城

【関連】ヤマトだけではない、日本の「過剰サービス問題」を解決する真の処方箋=島倉原

【関連】日本人の大半が選ぶ「株式を保有しない人生」は糞ハードモードだ=鈴木傾城

【関連】森友、加計に続く「第3の忖度」国際医療福祉大学疑惑に焦る安倍官邸=山岡俊介

1 2

三橋貴明の「新」経世済民新聞』2017年6月18日号より

無料メルマガ好評配信中

三橋貴明の「新」経世済民新聞

[無料 ほぼ日刊]
●テレビ、雜誌、ネットで話題沸騰!日本中の専門家の注目を集める経済評論家・三橋貴明が責任編集長を務める日刊メルマガ。三橋貴明、藤井聡(京都大学大学院教授)、柴山桂太(京都大学准教授)、施光恒(九州大学准教授)、浅野久美(チャンネル桜キャスター)、青木泰樹(経世論研究所 客員研究員)、平松禎史(アニメーター・演出家)、宍戸駿太郎(國際大学・筑波大学名誉教授)、佐藤健志(作家・評論家)、島倉原(評論家)、上島嘉郎(ジャーナリスト/元「正論」編集長)などの執筆陣たちが、日本経済、世界経済の真相をメッタ斬り! 日本と世界の「今」と「裏」を知り、明日をつかむスーパー日刊経済新聞!

いま読まれてます

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

MONEY VOICEの最新情報をお届けします。

この記事が気に入ったらXでMONEY VOICEをフォロー