付録:水銀の環境指針について
日本の食品安全委員会は、人が一生涯とり続けることが出来る水銀の上限(暫定耐容一週摂取量)は、メチル水銀について2ug/kg体重weekだと定めています(ちなみに、この数値は、「妊婦の胎児への影響」を加味したものですので、かなり「安全側」の数値となっています)。
http://jccu.coop/food-safety/qa/qa02_02.html
これはつまり、例えば体重50kgの人なら、一週間あたり100ugまでは摂取しても健康被害はない、ということを意味します。
一方、人間は一日平均14.4立法メートルの空気を呼吸することを考えると(http://www.daikin.co.jp/naze/html/d_1.html)、体重50kgの人なら、その人が仮に妊婦であっても、1立法メートルあたり約1 ugの空気を一生涯吸い続けても、健康被害はない、ということになります(100/(14.4×7)=0.99)。
そして、今回地下空間で検出された水銀濃度は「1立方メートルあたり0.28 ug」ですから、仮にそれが全て「メチル水銀」であったとしても(実はそうでない可能性の方が高いですが)、「体重50kgの妊婦が、一生涯、この空気を吸い続けていても、母体のみならず、胎児にも影響がでない」ということになります。
もちろん、人はいろいろな食品から水銀を摂取するかもしれませんし、より体重の軽い方もいますから、そうしたこともそれも踏まえて国の指針は、「0.04ug」という極めて低い値に設定されているわけです。
『三橋貴明の「新」日本経済新聞』2016/10/18号より
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