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悲願の上場!JR九州の「東京・大阪殴り込み作戦」は成功するか?=栫井駿介

屋台骨を支える駅ビル事業

JR九州の成長を支えるのは、これまでもそうであったように不動産事業であり、特に利益に貢献しているのが駅ビルです。

鉄道会社の最大の強みは、駅前あるいは駅そのものという一等地を必ず持っていることです。JR各社はそれを商業施設に改造することで、高い収益をあげてきました。JR東日本であれば「ルミネ」「アトレ」です。

2011年に開業した博多駅の「JR博多シティ」は、福岡中心部の商業地の構図を大きく変えるできごとでした。天神に行っていた買い物客を博多駅に留めることに成功したのです。同じようなことが鹿児島や長崎、大分でも行われました。

また、従来から所有していた宿舎などの土地を中心に、マンションを建設・販売する事業も行っています。九州では絶大な「JR九州ブランド」を活かし、好調な販売となっています。

不動産ビジネスは、いかに土地を安く取得して、その上に付加価値を生むかが成否を分けますが、JR九州は既に「タダで」一等地を持っていたため、そこに駅ビルやマンションを建設してしまえば間違いなく利益を出せたのです。

地元に残された開発余地は少ない

ところが、JR博多シティの開業以降、インパクトのある駅ビルの開発は難しくなってきています。九州経済は福岡への一極集中が進み、有望な駅ビルはあまり残っておらず、現在開発中の熊本駅が終われば開発余地はほとんど残されていません

それならばと、九州にとどまらず東京や大阪へ進出する動きを見せています。東京では新宿や新橋にホテルを建設し、大阪では帝人のビルを取得して跡地にマンションを建てる計画です。

九州と比べると東京や大阪は経済規模が圧倒的に大きく、そこへの進出は自然な流れとも言えます。

しかし、近年の不動産価格は上昇を続けています。今不動産を取得することは、高値づかみになってしまう可能性が否定できません。特にマンション販売は、景気悪化時には売上の停滞と在庫価格の下落という二重苦を味わうリスクの高いビジネスです。

JR九州がそのリスクを覆せるほどの素晴らしいノウハウを持っているのかという問題には疑問符が付きます。競争がゆるく、すでに持っていた土地を開発した地元とは異なり、多くの猛者がしのぎを削る東京・大阪で競争力を発揮できるかどうかは、全くの未知数です。

Next: 現状では割安感なし。JR九州株を買うべきタイミングとは?

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