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なぜ市場は梯子を外されたのか?黒田総裁は「緩和祭りの後片付け」を始めた=E氏

梯子を外された市場

しかし、市場参加者は黒田日銀総裁を始めとする日銀のうたい文句で動いていたし、いまだにそう考えている投資家もいるのです。

前回の決定会合当初は、ほぼ全ての参加者が日銀のうたい文句を額面通りに信じて、「緩和だ!ポジティブだ!」とはしゃいでいましたが、国債買い入れが減額されているという事実を目の当たりにして徐々に「これは引き締めじゃない?」という見方が広まっていました。

なので、「年内に日銀はテーパリング(緩和縮小)についての言及をするのではないか」とか「国債買い入れ80兆円という現行の目標の撤廃をするのではないか」という見方すら出てきたくらいです。

これに対し、今月の決定会合後の会見でのポイントはなんでしたっけ?

「必要とあれば躊躇なく」と言わなかったのと、「目標の後連れは欧米も同じだから仕方がないじゃん」という開き直りですよね?

これは、前回会合の決定が緩和の強化と信じていた人にとって、「まあ、先月緩和したばかりだから、今月ノーアクションなのは当然だよな」で済む発言だと思いますか?

前回緩和の強化というスキーム変更を行い、今後もマイナス金利を深掘りできる地ならしとして、まずは異常な状態の長期金利がマイナスというのをゼロに正常化させるというのを先にしているのですよね?

緩和を期待している人からしたら、「まず長期金利を引き上げ方向にしているのだから、短期の引き下げは今月無くても、それを匂わすのは当然」と考えるのは自然だと思います。しかし、黒田日銀総裁は、その梯子を外したのです。

また、緩和手段を量から金利に変えた時点で推察が付いたとはいえ、それを緩和の強化と額面通りに取った人からしたら、今回の「物価目標の達成時期の後連れ」は「緩和の強化をしてわずか1カ月で、なんで見通しを下方修正してくるの?」とネガティブな反応になっても仕方がないでしょう。

このように、前回の決定会合を緩和の強化と考えていた人にとって、今回の会合と引け後の会見は「梯子を外されたような印象になってしまった」のです。

「やっぱり、緩和縮小っぽい」

一方、「前回の会合の決定内容はもしかしたら引き締めで、テーパリング(緩和縮小)じゃないの?」と勘繰り始めた人にとって、今回の会合と会見は「やっぱり、それっぽい」と感じさせるに十分でした。

「必要ならば躊躇なく」を言わずに、「欧米も物価目標を後ずれにしてるから」といって、物価目標を後連れにするというポイントは、今が、国債買い入れを増額している時期なら、「これ以上の目標先送りを回避するために追加緩和」という期待を醸成したでしょう。

しかし、この1カ月で日銀が行ったオペレーションは実質テーパリング(緩和縮小)であり金融引き締めなのです。

国債買い入れを減額しておいて「目標を先送りにしても問題ないよ」と開き直るということは、「今行い始めた国債買い入れ減額を正当化する発言」と取られてもおかしくないと思いませんか?

テーパリング(緩和縮小)を始めたせいで目標後連れになった可能性もあるのですから、これを「欧米も…」と正当化するという事は、テーパリング(緩和縮小)が第一義で、なんらかの減額ターゲットを持って国債買い入れの減額を行っている可能性が高いのです。

つまり、日銀の政策に疑念を持っていて、「早晩、国債買い入れ年間80兆増額という目標を撤廃するのでは?」と考えていた人からすると、1日の会見は「やっぱり、国債買い入れ80兆円増という目標が現実的じゃないから撤廃しそうだ」と考えるに十分だったのです。

Next: もう日銀による「サクラ演出」「株価買い支え」は通用しない

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